99年に急死するまで、その徹底した秘密主義と完全主義ぶり、そして、その冷徹なカメラ・アイと強靭な映像力を以って、多くの映画ファンから神格視され、正に20世紀最高の孤高の巨匠と呼んで相応しかったスタンリー・キューブリック。今アルバムは、デビュー作の「恐怖の欲望」から「フルメタル・ジャケット」までの(遺作となった「アイズ・ワイド・シャット」からは未収録)全ての作品から、代表的な楽曲を集めたアンソロジーだ。「2001年宇宙の旅」の壮大なオープニングそのままに、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」から始まる19曲は、各映画のメイン・タイトルやキューブリックが好んで採り入れたクラシック音楽が盛り込まれており、彼の映画ファンなら、各々の映画のワン・シーンが甦ってくること請負だ。個人的には、後に、Q・タランティーノを始め、多くの映画作家に影響を与えたフィルム・ノワールの傑作「現金に体を張れ」の緊迫感溢れるサウンドが聴けるのが嬉しい。ただ残念なのは、「博士の異常な愛情」から"WE'LL MEET AGAIN"、「フルメタル・ジャケット」から“SURFIN'BIRD”と言った原曲も収録されているものの、殆どが、プラハ・フィルハーモニー・オーケストラによる再録音であると言うこと。「時計じかけのオレンジ」でのウェンディ・カーロスのあの魅惑的な電子音楽による「歓喜の歌」も、マーク・アイレスによる再録だが、しかし、そんなマイナス・ポイントもさして気にならないボリューム感、映画同様、アルバムの末尾を締める、核爆発に伴う原子雲の映像に被さるヴェラ・リンの、"また逢いましょう、どこだが分からず、いつかとも知れないけれど、、、"の歌詞に、強烈なサタイアを感じつつ、キューブリックの作品世界を振り返らせてくれる。
キューブリック映画の魅力は映像の捉え方にあるのと同時に、その音楽性にもあると思われる。そんなキューブリックの音楽性をうかがい知ることのできる一枚に仕上がっている。ジャンルこそ様々であるが、どれも知名度の高い内容である。
Disc1
1.Also Sprach Zarathustra [From 2001: A Space Odyssey]
2.Spartacus-Main Title
3.Ode to Joy [A Clockwork Orange]
4.Women of Ireland [Barry Lyndon]
5.Sarabande [Barry Lyndon]
6.Full Metal Jacket-Themes
7.Surfin' Bird [Full Metal Jacket]
8.Main Title/The Robbery [The Killing]
9.Murder 'Mongst the Mannikins [From "Killer's Kiss"]
10.Meditation on War [Fear and DeSire]
11.Madness [Fear and DeSire]
12.Patrol [Paths of Glory]
13.March of the Gloved Gladiators [Day of the Fright]
14.Shinning-Theme
15.Midnight, the Stars and You (The Shining Blue Star)
16.Lolita-Love Theme
17.On the Beautiful Blue Danube [From 2001: A Space Odyssey]
18.Bomb Run [Dr. Strangelove]
19.We'll Meet Again [From Dr. Strangelove]