エディターレビュー
マイルス・デイヴィスがこの最期のスタジオアルバムでも相変わらず追い求めているのは、マイルスならではの音だ。プロデューサー兼ラッパーにイージー・モ・ビーを迎えた本作は、ヒップ・ホップとジャズをクロスオーバーさせたサウンドになっている。クール&ザ・ギャングやジェームス・ブラウンの曲をサンプリングした結果生まれたメロウなグルーブは、アシッド・ジャズに似ていて、かすかにトリップホップ・ジャズも感じさせる。 本作は楽しませてくれるが、リリース以来あからさまに批判されてきた。評論家たちは、マイルスのような天才は古典的な曲(ようするに本作とはちがう音楽)でキャリアの幕を引くべきだと期待していたからだ。そして悲しいことに、イージー・モ・ビーのラップは、マイルスのすばらしさを称えてばかりいるリリックによって、“ありきたり”という言葉に新たな意味を加えているだけだ。とは言え、そうした欠点にもかかわらず本作はいまだに、このジャンルの多くのアーティストを打ちのめしている。その理由はなんと言っても、マイルスが最期まですばらしい演奏を聴かせてくれるからだ。 本作は名作ではないが、とことん楽しめるアルバムだ。この巨匠が人生の最期の日々に新たなジャンルに挑んだ音に、腰を下ろしてじっくりと耳を傾けようではないか。そして、もし彼が生きていたら、マッシヴ・アタックのようなバンドと共演して彼が鳴らしたかもしれない音に思いをはせよう。(Phil Brett, Amazon.co.uk)
カスタマーレビュー
もうすこしMCがよければ。。 Doo-Bop Miles Davis
ジャズ界最大の巨匠、マイルス・デイビスの遺作となったこの一枚。
巨匠は常にアヴァンギャルドであることをやめなかった。このアルバムでは、新進気鋭のヒップホップアーティストと組んで、ヒップホップジャズともいうべき独自のサウンドを展開してみせる。マイルスのトランペットはヒップホップに呑み込まれることなく鋭く冴え渡り、いささかの衰えも感じさせない。このジャズとヒップホップの融合というコンセプト自体、後にアシッドジャズというカテゴリーを生み出した。そう、巨匠は最後まで未来を志向していたのだ、感服。
惜しむらくは、コラボレーションしたヒップホップアーティストがショボいこと。MCもバックトラックもなんとも安っぽい。ラッパーのイージー・モービー、誰それ?って感じで、もっと著名なプロデューサー・MCと組んでいたら間違いなく大傑作になっていただろうに。ランDMC、パブリックエネミー、アフリカバンバータなど、当時大御所のヒップホップアーティストはいたはず。そういうアーティストとの、巨大な才能同士のぶつかりあいが聴きたかったな、というのは今ではもう叶わぬ夢か。
とにかく死ぬまで前衛であり続けたマイルスに敬意を表し、また僕が最初にジャズを聴くきっかけとなったアルバムでもあることに感謝の意味を込めて4点。
秋に聴きたい一枚 Doo-Bop Miles Davis
大好きな1枚です。
秋に聴きたい「Mystery」です。秋の枯れ葉の中を歩いているような気分になります。
ジャズとヒップホップとマイルス!がしっかり詰まっています。
書を捨て、街へ出よう Doo-Bop Miles Davis
文豪トルストイは、大成した晩年、突如として家出をする。ガンジーに会いに行くため(?)だったらしいが、結局途中の駅で客死してしまう。このマイルスの最終作はそんなエピソードを思い浮かべる。マーカス・ミラーがほとんど全部作った『TUTU』以上に、ここにはそのマーカスはおろかミュージシャンがいない。ジャズですらない。何と言って表現してよいかあたふたしている我々の真上で、マイルスのトランペットが気持ち良さそうに炸裂しているのである。しかも、ただそれだけ、である。それ以上は、この音楽を幾ら掘り下げて聴こうと思っても無駄である。
思えば、マイルス1人の作品をそれこそ50年代から全部たどって行くだけで、ほぼ全てのジャズ・ミュージックが体験できる。マイルスはジャズの帝王であり、聴く方も論ずる方も「オレたちはマイルスを聴いてるんだ、分かるんだ」という何がしら自信に溢れてしまってはいやしないか。何だかんだ言ってマイルスから距離を取っているつもりでも、それがその人の立ち位置を決定してはいないか。
バードに畏怖の念を持ち、コルトレーンを世に送り出し、黄金5と演奏の極限を追求し、ザヴィヌルと運命的な出会いを果たし、元プリンスと邂逅し、ギルと結局ジャズをでっち上げたマイルスは、ここにはいない。風のようなマイルスである。
しかし、ここには大きなメッセージがひとつだけ、隠されていると私は思う。つまり、ジャズは結局そのひと個人にかかってくるものだということだ。これがヒップポップじゃなく、雅楽の演奏だとしても、マイルスが入ればどうしようもなくジャズになる(マイルス・ミュージックになる、と言った方が適切か)はずである(はずであった)。こんな音楽を作ってやろう、などと考えずともハーマン・ミュートでプッと吹くだけで、マイルスの空間になるのである。これを聴いて思うのは「では、オレは何ができるんだろう」だ。じっと手を見る、という感じだ。コンセプトがどうのではなく、急に横道のそれたマイルス。しかしマイルスは最後の最後まで、何だかんだ言ってファンサービスに溢れていたのである。
細かい事ではあるけど、『フォア&モア』で分かっていたことだけれどマイルスのリズム感が凄い。67歳の、しかも死期の迫っている爺さんだぜ?
かっこいい Doo-Bop Miles Davis
ジャケットを見て思わず買ってしまったCDです。
ライナーノートに書いてあったのですが、
実はMiles DavisはこのCDの収録曲のうち
6曲を仕上げた段階でなくなったそうです。
プロデューサーのEasy Mo Beeが、
アルバムとして出すのに必要な残りの3曲を
Milesの遺稿ともいえる未発表の音源から選び出し、
そしてMilesがOKを出すと思われるようにリミックスしたそうです。
どの曲かはここには書きませんが、
ライナーノートを読む前に一度聞いてみて
その3曲を探し出すのも面白いかもしれません。
自分は分かりませんでした。
マイルス・デイビスという音楽 Doo-Bop Miles Davis
ラップミュージシャンのイージー・モービーが作ったバックトラックにマイルスがトランペットを吹いたアルバムです。
サントラの「ディンゴ」で一瞬盛り上がった4ビート神話をあっさり覆す、ラップ/ヒップホップサウンドです。この、いわゆるストリートサウンドについては唐突なもののようにも思えますが、実は88年頃のライブから、マイルスは自分のバンドに「異質なもの」としての「ストリートサウンド」を加えています。具体的にはエレクトリックパーカッションのジョン・ビガムなのですが、マイルスはビガムに対しては「好きなように」プレイさせていたようです。このことについてマイルスは「時折、自分の音がひどく古くさく感じる。耳を覆いたくなるほどだ。そんなときにジョン・ビガムのストリートサウンドが救いになる」とコメントしています。
ドゥーバップのサウンド自体は、イージー・モービーのものであって、ディンゴ同様にマイルス自身は深く関与していません。
最晩年のこの年、マイルスのサウンドは題材となる音楽(フォーマット)がなんであろうと、マイルスがトランペットを吹けばマイルスの世界になるという圧倒的な存在感を示したともいえるのではないかと思います。
多くの人が指摘するように「マイルス・デイビス」という音楽なのだと思います。。
最新レビュー Doo-Bop Miles Davis
収録曲・トラック
Disc1
1.Mystery
2.Doo Bop Song
3.Chocolate Chip
4.High Speed Chase
5.Blow
6.Sonya
7.Fantasy
8.Duke Booty
9.Mystery (Reprise)
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