カスタマーレビュー
現代の猟師生活 ぼくは猟師になった
若い猟師が、猟の仕方、獲物の解体、調理法をカラー写真付で説明した、稀有な本。
農業に関する本は山と出版されているが、猟師に関しては野蛮とのイメージからか非常に少ない。
猟師としては、東北・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行う狩猟者集団=マタギが有名だが、元々縄文人は、土着の狩猟採集民であり、日本人は農耕民族と解されているが、祖先は狩猟民族であったのだ。
動物の殺生は、食用であれ野蛮と思われながらも、近年、屠場の本もチラホラと上梓されるようになってきた。
都会で切り身だけを見ていれば、実際の動物と食肉との関係を忘れてしまいがちではあるが、欧米では家畜以外にも野生種が今も食べられており、人は植物だろうが動物だろうが、生の営みを戴いて自身の生を維持している事を、本書は思い出させる。
猟師のイメージとして真っ先に思い浮かぶ鉄砲猟を、著者はしていないので、ワナ猟についてしか書かれていないが、鳥の網猟、休猟期の川・海などでの漁と、多彩な猟について触れられており、読者は、自然と人との関係を“捕って食う”の原点に戻って再確認するだろう。
答えは僕たち自身で出すべし。 ぼくは猟師になった
かつて「肉」は高価で貴重な存在でした。
「食糧としての肉」が工業生産品と同様に「いつでも・どこでも」入手可能となった現代において「狩猟」の意義とは?
それはただの「道楽」なのか?
猟師=ハンター=「銃を使った狩猟」という先入観を裏切る「わな猟」を通して獲物との駆け引きを繰り広げる様子には殺伐さはあまり感じられません。
ですが、初めて罠にかかった生きた獲物(野生の鹿)の命を奪う際に心中を去来する様々な感情を描いた部分は非常にリアルで真摯さを感じました。
その後の解体→精肉までの一連の工程も飛ばさず描かれているのが興味深いですね。
本書はことさらエコロジスト的な視点から書かれたものではありませんが、山野で野生動物と向き合う中で生じる感情や感想には当然のようにナチュラリスト的な色調も強くなっており、経験に基づくだけに説得力も強い。
そうした点を踏まえた上で読み手に対して色んな事を考えさせずにはおかない本になっております。
著者はとうとう、自身のライフスタイルを狩猟生活に合わせるまでに至ったわけですが(住居の選択や融通のきく職場を選ぶなど)ことさらに狩猟の魅力を読み手に向けて強調するようなことはしません。
傍からはうかがい知れないその活動の詳細をイラストや写真も交えて詳しく描くことで貴重なルポとして十分読むに値する作品となっております。
「刺激的」な本をお探しならお薦めです。
ワナ猟を始めの一歩から垣間見て ぼくは猟師になった
著者が自ら「ワナ猟師」になると決めて、一から獣を獲って行く過程が描かれていて、緊迫感と驚嘆を持って読み進めることが出来ました。
家畜が飼育され、流れ作業で処理されて、スーパーの食品棚にパックされて置かれている肉が当たり前になっている現在においては、多くの人達が無縁となった「猟師の世界」を見せてもらい、自然の営みの中に人間を置く事によって、より生々しく、生命の尊さを身近に感じながら、自然の中に暮らしている人間(猟師)の姿を知る事が出来ました。
獲物は簡単に取れるのではなく、相手との一対一での知恵比べと、毎日の見回りと観察と言った地道な行動が結果につながり、旬の時期に自然の恵みを美味しく頂く事の喜びに溢れた世界を感じました。この本には、鴨猟も紹介されています。人間が昔から行ってきた本質的な猟が描かれていて、面白い本です。ただ、もう少し多くの例とかエピソードが書かれていると、もっと面白かったかも知れません。
まさしく狩猟生活の美学です。 ぼくは猟師になった
わな猟という狩猟を中心にそのイロハをカラー写真による解説と共に狩猟に対するポリシーを熱く語る本というのは今までにないカテゴリーであり、興味津津で没頭して読みました。
香港などに行くと腹開きした豚や牛の肉塊、生きている鶏などをみかけるのですが、今の日本では、肉といえば薄くスライスしパックに入れられたものが店頭に並べてあり、そのものの形というのを魚でさえ見なくなりました。
自助自立で獲物を捕らえ、さばき、いのちの大切さを認識した食べ方はまさしく生きるという一流の美学そのものです。
シシ肉は獣臭がきついというイメージが刷新され、また鰹ではなく鹿肉のたたきなど、読者側にもその芳醇な味わいが伝わってきます。
獲物のしとめ方に「どつく」という言葉がありますが、これは「叩く」という軽い音がする打ち方ではなく、「殴る」でもなく、鈍くて重い打ち方を表現しています。
男の野趣な生き方を示した本であり、自然環境とマッチングした本来あるべき生活といった生き方の原点を教示しています。
普段のありきたりではない生活ぶりに対して大いに魅了されました。実におもしろい本です。
猟をしたことの無い日本人は必読 ぼくは猟師になった
初めから精肉された牛や豚や鳥を食べている僕たちこそ読むべき書。そもそも「お肉」はスーパーやお肉屋さんに並ぶ前に、誰かがその生き物を殺して、様々な工程を経て僕たちの食卓に並ぶのです。あたりまえです。小学生でもわかります。でもその「お肉」を食べる僕たちはその「お肉」を身体として保有していた牛や豚や鳥を「殺している」という感覚が無い。その感覚は麻痺どころか、無くなってしまっている。殆どの人は見たことありません。そこで起こっている、血や叫びや臭いなんか全部捨てられた、無機質の「お肉」しかみたことないからです。本書の作者は正しく「食べるために」獣を「殺して」「解体」して「肉」にする。そこには「キャー」っていう要素が一杯ある。写真もある。でも僕たちはそれを正視し理解しなければならないのです。それが、僕たちの生き物に対する「義務」です。
そして本書のもっといいところは、生きるために猟師をやっている、という明確な立場があることです。ライフスタイルとして「狩猟」やってます、というものじゃなく、そこにあるのは「食べるため」という立場はすばらしいく、潔い気持ちが現れています。そんな作者のところへ来た見学者が、インスタントラーメンに獣肉を入れて食べている作者をみて幻滅するそうです。狩猟へのいびつな思いが幻滅させるのでしょう。でも作者は食うために狩猟をおこなっているのです。
こんな時代だからこそ読むべき書です。老いも若きも男女問わず必読ですね。
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