カスタマーレビュー
日本的な叙情的SF 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
SFは中学生時代から大好きで数多く読んできたが、日本人の作品はさほど多くない。アシモフやハインラインといった巨匠の作品を始めとして海外の作品はどちらかというと明るくて論理が明快な作品が多い一方で、日本人の(少なくとも当時の)作品は内省的でどちらかといえば陰鬱な作品が多いイメージがあったからだ。
小松氏の作品も大ヒットした日本沈没以外は読んだことがなかったが、あるテレビ番組で本書を取り上げていたので興味を持って読んでみた。時間旅行・パラレルワールド・超能力といったSF的な素材を扱っているものの、それ自体を目的にした内容ではなく、これらを土台に人類の種としての行く末を描くことに挑戦した作品だ。
正直言ってストーリー展開はかなり強引で、論理的には無理がある部分も見受けられたが、作品の持っている叙情的な雰囲気に乗せられて最後まで読み進めることができた。主人公は野々村と恋人の佐世子の二人だと思うが、時間の流れに飛び込んで時空を駆け巡ることになる野々村が、最後に記憶を失いながらも佐世子の元に帰ってくるところは共感できた。
但し読後感がすっきりしないのも事実。比べること自体に無理があるかも知れないが、自分にとっては同じ時間物であればアイザック・アシモフの「永遠の終り」の方が素直に面白いし感動できる。興味がある人は日米の巨匠の作品を読み比べてほしい。
解説にひとこと 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
こんな複雑なものは、よっぽど事前に計画を立てて綿密なノートを作って書いたのだろうと想像していましたが、「作者あとがき」によるとそうでもなく、「エイ、ヤッ」みたいな勢いで書いたようで、それもまた驚きです。そのあとがきは、小松氏の人となりが伝わってくるような非常にいい文章でした。その中で、次は同じテーマでもっと満足のいく作品を書きたいと述べていらっしゃいますが、それは果たして実現したのでしょうか。非常に気になって、続く「解説」を読むとその事には一切触れられておらず、解説ならぬ感想のようなものが綴られているだけです。せめて小松作品やSF小説全体における本書の位置づけ(後者についてはわずかに触れています)を解くのが解説というものでしょうに、全く解説の用をなしていません。
タイムトラベルもの.傑作! 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
第一部
舞台は,現在の日本.
消えた主人公.謎の殺人者.遺跡に残る不思議な超技術の跡と「砂時計」.
謎が深まり,興奮します. ところが ・・・
第二部
舞台は,なんと,未来と過去,時間を自在に行き来し,
宇宙の果て.さらには,パラレルワールドにまで広がります.
登場人物は,時間犯罪者,そして,超意識を持つ「神」に近い存在,
その2者の戦いになります.
その戦いの「果て」にあるものは !
そして,「第一部」の謎の決着は !!
ここに,その落ちを書くことはできません.
是非,読んでみてください.国産SFの傑作であり,最高峰の1つ.
「待ち人来たる」なんておみくじを信じたくなるような、そんな作品 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
大学教授の助手をつとめる主人公野々村は、
教授の友人から永遠に砂の落ち続ける砂時計を見せられる。
白亜紀の地層から出土されたと聞き発掘現場に向かった一行は、
十億年にも及ぶ時空を超えた戦いに巻き込まれ、驚くべき世界の仕組みと対峙する事になる。
全体の四分の一程の所でいきなり挟まれる、壮大で美しくも純愛に満ちたエピローグ。
そこで物語の結末が先に語られ、以降の章で未来の出来事を過去に遡って展開する
というネタバレのような不思議な構成ながらも、引き込まれる物語の力強さ。
古墳、ピラミッドの健造技術と造型の不思議。ダーウィンの進化論のミッシングリンク。
それらについてなされるSF的解釈は、何故今までその可能性を考えなかったのか
自身に疑問を抱かせるに充分な説得力と、時空を超える広大なロマンスを湛えた物語として展開されます。
「待ち人来たる」なんておみくじを信じたくなるような、そんな作品です。
最近涼宮ハルヒシリーズを併せて読んだせいなのか、
不思議な事に対して行われるSF的解釈を素直に受け入れてしまう自分を発見して驚かされます。
日本SFの最高傑作 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
時間SFだが、「歴史を変えて何故いけない?」と、
主人公側は時間犯罪者組織である。
果しなき時間流は未来から干渉してくる二つの力で作られてきたのだ。
タイムスケールは数億年レベルの物語だが、
プロローグその一が「象徴的事件」
プロローグその二が「現実的結末」
となっており、SF物語の果に到達するエピローグが、
世界一のSF作家のホーガンの「星を継ぐもの」級の感動である。
「それは長い長い夢のような、いや、夢物語です」
もっともスケールのでかい恋愛物語としても読めます。
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