日本がマイナス成長を続けるなか、7.9%(2001年上半期)という世界トップのGDP成長率を示し、さらに2001年のWTO加盟、2008年のオリンピック北京開催、という2つの巨大な刺激剤を抱え込んでいる中国。本書は、その中国が今後どのような世界地図を描いていくことになるのか、また日本が再生のためにすべきことは何かについて重要なヒントを与えてくれる。
著者は、留学生教育を専門とする筑波大学留学生センターの教授。21世紀を握る鍵はお金ではなく、教育と人材活用であると指摘する。特に、21世紀は知の経済であり、知識と技術が財産となり、それらが新しい経済へと結びつく。その「知の改革」を行わず、お金もうけができそうなところに動いていく日本の危なさに対して警鐘を鳴らしている。
具体的には、日本と訣別した在日中国人博士から届いた1通のメールの紹介に始まり、中国の人材資源国家戦略(かつて中国人留学生として全世界に羽ばたいていった頭脳たちを中国の未来を担う人材として集める)に基づく巨大な人的ネットワークのすごさや、シリコンバレーとかかわる中国人留学生たちの現在をドキュメンタリー風に紹介していく。そして、中国とシリコンバレーがつながった最も大きな要因が個人の尊厳にあることを指摘し、日本における人材と心と「個」のアイデンティティーを生かす土壌の必要性を強く説いている。(増渕正明)
本書は現代の中国の科学技術政策を知ることができ、今後の中国の科学技術の発展の原動力を感ずることができる。中国の科学技術政策の成功は、また、中国人気質にもあり、この点に関しても本書を読むことによって理解することができた。本書を読み終わって、日本においても科学技術政策における人材活用を真剣に考えるべきと感じた。また、日本人技術者に対しても日本の科学技術発展に貢献すべき活力を与えてくれる。インターネットのウェブサイトも掲載されおり、今、必読の一冊と思える。