カスタマーレビュー
膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している 鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
番号のついた送電線の鉄塔を、
81番から1番まで逆に辿ってゆく、ただそれだけの話。
ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景、
「鉄塔」を主役に据え、ゴールが見えている冒険を扱いながら
かくも私たちの中の「少年」を揺さぶられる手腕は
(女性の方すみません)見事と言う他ない。
正直鉄塔のディテールを81本分読み続けるのは
一種の苦痛である。しかし今だから下らない、と言える
何かに拘った事のない人はいないのではないだろうか??
大人顔負けの知識と、未成熟な自我とのアンバランス、
その青さが瑞々しい。
このソフトバンク版は、単行本とラストが違う文庫版の本文に
作者が本来は挿入したかった写真を全て収録した完全版。
ファンタジー色が廃されたラストの味わいと、
膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している。
いつか、「タモリ倶楽部」で特集することを、願ってやまない。 鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
2007年の夏休み。神田川をたどる旅をしていると、現われる鉄塔、北堀線。これをみたとき思い出したのが、この小説、いや、正確にはこの小説を原作とした映画であった。といっても、この映画は観た事がないのだが。。
2008年夏休みも、例によってヒマになろうこと請け合いであったため、ひとまず購入した。鉄塔マニアな少年の、ひと夏のさわやかな体験を描く、ジュブナイル冒険ロマン鉄塔小説。
転校を控えた夏休み。友達はみな避暑地に出かけており、ひとりサッカーボールを蹴っていた見晴。彼の目は、不思議な形をした鉄塔を捉えていた。近づくと見える「武蔵野線 75-1」という番号札。永遠のスタート地点である。次の鉄塔を巡ると「武蔵野線 76」の番号札。もしかして、この鉄塔をさかのぼると1号鉄塔が、その先にはきっとヒミツの原子力発電所があるのでは。。そしてはじまる、年下アキラとのひと夏の鉄塔を巡る冒険旅行。彼らは無事、1 号鉄塔までたどり着くことができるのか、その先にはいったいなにがあるのだろうか。。
男性型鉄塔、女性型鉄塔などといった子供らしい発想のなかに、裏打ちされた鉄塔の知識というアンバランスさが、なんともいえずマニア心をくずぐる。日ごろ特に気も留めずに見ていた、あるときは自然の中の、あるときは街の中の巨大人工物である鉄塔。この本を読むと、碍子とジャンパー線がどのように鉄塔とつながっているのか、気にして歩いてしまうようになるのだ。さらに少年のこころのピュアさにおじさん、やられちゃいました。ほんと社会ってのは、一番誰に親切であるべきかというと、それはやっぱり子供に対してだね。褒めるのも叱るのも、そして、鉄塔をみせてあげるのも。
いつか、「タモリ倶楽部」で特集することを、願ってやまない。
主な登場人物 - 鉄塔 鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
「武蔵野線」は、JRのそれではなくって、東京電力の送電線を指す。鉄塔マニアの語り手は、ある日近所の鉄塔を見に行って「武蔵野線 79-1」(79号鉄塔)という表示を見つける。それで、この鉄塔をたどっていくと何があるんだろう?と疑問を持って、1号鉄塔を目指す旅に出る、という物語である。ちなみに語り手は小学5年生。スタンドバイミーみたいな話だ。
本書の登場人物の多くは鉄塔である。「人物」と呼ぶことに若干戸惑いがあるが、実際に語り手によれば、鉄塔には「男性型」とか「女性型」とか「コックさん型」とかがあって、それぞれ美しかったり醜かったり勇敢だったり意気地なしだったりする。人間と同じである。普通、鉄塔って「優雅」とか「醜悪」とかそういう形容辞では語らないが、まあ人間の美醜を判断する対象は果てしなく拡散しているので、こういう世界があってもよいと思う。ちなみに、世の中には鉄塔マニアって結構いるみたいで、そういう愛好者のサイトもいろいろあるそうな。
ただし、ファンタジーノベル大賞だし、『文学賞メッタ斬り!』で大森望が激賞していたし、期待して読んだのだけれども、期待外れではあった。ばっさり言えば、『となり町戦争』とか『バトルロワイヤル』とか、その手の「こんな設定思いついちゃいました」的な小説のひとつ。初めは設定がおもしろいけど、だんだん読んでいて疲れてくるタイプ。小説自体よりも、作者のあとがき(鉄塔への愛があふれている)の方がだんぜんおもしろい。この人ほんとに鉄塔が好きみたい。こういうオタクは好きです。
鉄塔の素晴しさが伝わってきます 鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
映画は、かなり昔に見ましたが、原作があったとは知りませんでした。
本作でなんといっても嬉しいのは、 「 鉄塔武蔵野線 」 の写真が掲載され、
配置図もついていることです。
本作の作者ほどではありませんが、私も鉄塔には若干、思い入れがあり、
昨年、あるテレビ番組で見た埼玉県和光市の鉄塔の写真を撮影したりしているので、
偶然とはいえ、近くにある武蔵野線もついでにまた撮影しに行くかなと考えています。
本作は小学生の子供が武蔵野線をただひたすら追うものですが、それほど退屈はしませんでした。
何よりもラストに感動を覚え、フィクションとはいっても、人の善意を信じたい気持ちになり、
読後、心の中が温かくなったのは、とても良かったと思います。
鉄塔に興味は無かったのですが・・・ 鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
鉄塔にあまり興味はありませんでしたが、何故か書店で
見つけたとたん、魅かれるように購入してしまいました。
美晴とアキラ。2人の少年が秘密の”鉄塔調査隊”を結成し、
武蔵野線の鉄塔を順に辿りながら、”儀式”を行ってゆく。
何のために、ということに本人達も途中で疑問に思いつつも
まるで何かに惹かれるかのように鉄塔巡りを続けてゆく・・・。
その様子が、少年の視点で綴られており、鉄塔に興味が無くても、
いや鉄塔の魅力を主人公に教わりながら、読み進めることができます。
(ソフトバンク文庫では)全ての鉄塔の写真があるので、各鉄塔の
周囲の様子が同時進行でわかるのも良いと思いました。
なぜ主人公が引越し間際という設定だったか・・・それはラストでの
気の利いた演出に繋がっています。
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