脳に関する現象について、物理的・生理学的な記述でまとめてある本です。といっても教科書的な堅い内容ではなく、初歩の初歩について概観するといった感じの内容になっています。
視覚刺激の処理システムに始まり、記憶・学習を工学的な観点から記述するといった内容までわりと広い範囲をカバーしています。記憶・学習のメカニズムとしては、パーセプトロンに代表されるニューラルネットワークの解説が主です。
内容としては読みやすく良いと思うのですが、記述内容がちぐはぐな箇所もあり、どうもあちこちから事実関係を引っ張ってきて切り張りした感じがします。特に原著論文をあたらずに、邦訳の本からの孫引きによると思われる記述が多いため、「詳細は成書に譲るが…」という部分が目に付き、少し専門分野の内容を知りたいという方には不満も残るかと思います。そういった点で星4つとしました。
脳科学をシステム工学的に、神経生理学的に書いている本しか読んだことのなかった私にとって、「物理学と脳」の視点から書かれていたこの本は新鮮でした。
脳で見られる現象を物理学における一般的な現象に置き換え論ずるという視点は普段神経生理やシステム論、学習理論などを専門とするひとにとっても面白いのではないでしょうか。
内容自体は難しい数式などほとんどなく、脳の実験的事実に基づく考察をわかりやすい書き方で紹介している感じです。
少し違った視点の本を読みたいけど、あまり難しすぎてもなぁ…という方によい本だと思います。