本書の主人公であるウィリアム・メレル・ヴォーリズは
明治38年、24歳で来日し、現在の滋賀県立八幡商業高校の
英語教師として赴任。
しかし、熱心にキリスト教を布教したことに反発を受け、
2年余りで学校を去ることを余儀なくされる。
しかし、逆にそれを機に、事業を通じて、キリスト教の
布教運動を展開していくこととなる。
米国の商品の輸入販売、布教の核でありメンソレータムの
販売元としても知られる近江兄弟社の経営、病院の経営な
ど、日本人に西洋の生活を啓蒙的に紹介していくとともに、
その背景であるキリスト教の布教を図ったわけである。
中でも、日本人に対して、キリスト教をふまえた西洋の生
活を、可視的に提供したのが、W.M.ヴォーリズ建築事
務所と通じでの、数多くの建築設計である。
本書は、そのヴォーリズの数多くの設計作品を、網羅的に
紹介する、最良の書であろう。
ここで紹介されている建築を見ていると、日本全国の私立
のミッション学校が、どれだけヴォーリズの手になってい
るのか、驚くのではないだろか。
日本人の思うミッション建築の共通イメージ(関西学院の
キャンパスが象徴的)が、実は一人の建築家の手によるも
のであることが、理解できるだろう。