カスタマーレビュー
ただひたすらに アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
暗い作品です。運命や時代に翻弄されながら迷い、決断し突き進むけれども・・・結論は無く、本当にこれでよかったのだろうか。そんな悲しさが常に付きまとう。
母性に対する憧れや「生まれてこなければ良かった」という他作品にもあるテーマが強く見える作品。闇を覗き込む時、闇も私を見ている。そんな気持ちになる作品です。
アシュラが発禁であったことは一度もない アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
「アシュラ」は今まで4回ほど単行本になっています。 立風書房(B6版)昭和40年代、朝日ソノラマ(新書版)昭和50年代、日本文芸社(A5版)80年代、ぱる出版(ハードカバー)90年代 そして、今回の文庫版、本としては、一番貧弱でサイズが小さい。大型サイズでの再刊を望みます。この作品が発表されたのは、昭和45年の少年マガジン。「巨人の星」や「あしたのジョー」が連載されていた頃です。 完結編は昭和50年代になって、週刊少年ジャンプに読み切りで発表になりました。 この作品も、一緒に収録して欲しかった。2009年1月、連ドラになった「銭ゲバ」の延長線上にある作品です。 極限状態を設定するために、中世の飢饉の時代を選んだに過ぎません。 テーマは重いので、ジャンプ系列の作品が当たり前だと思っている人にとっては、かったるい作品かもしれませんが、ハングリーな人にとっては、心に染み入る作品でしょう。 そして、この作品はよくも悪くも、マンガの神様手塚治虫には絶対書けない作品です。 マンガというより、文学に近い作品です。 「画」だけがうまい小器用な最近のマンガに不満を感じている方は、是非ともお読み下さい。
泣けばいいってもんじゃ… アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
私は大人になってからこの作品を読んでよかったです。
冒頭の描写から、頭がおかしくなってしまうような凄惨な
シーンの連続で、子供だったら変なふうにのめり込んでしまう
危険があるのじゃないかと思います。
全てを読み終わって、最初の妊娠した母親のところを読むと、
涙がでてきます。生きるために半狂乱になって人肉を食いながらも
お腹の我が子、生まれ出た我が子を守ろうとする姿に
美しさすら感じました。自分も母親になってみたいと感じました。
アシュラの苦悩は理解できるものの、憎み過ぎだと感じました。
恋もし、友達もできるのに、恨みもない人たちを殺し続ける
行為に共感しきれませんでした。
全体的には、古いものだとは思えないほど鮮烈な作品で
絵も(単純だからこそ?)高い水準だと思いました。
とくに女の人の体がよく描けてて、好きなんだろうなと思いました。
生まれてこないほうが良かった… アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
「ポニョ」のキャッチコピーが「生まれてきてよかった」
のに対して「アシュラ」で度々登場する台詞は「生まれてこないほうがよかった」
冒頭から始まる飢餓に苦しむ中世日本の情景は当時の少年誌に連載されていたとは驚きである。まさに生まれてこない方がマシな世界だ。
それでも登場人物たちは死を望まず、懸命に生きる!懸命というより生きる為なら他人の犠牲などいとわない。
死の描写に溢れかえっている本作は死を表現することで逆に生への本能的な執着を描き出している。「生きたい」という強い願望だ。
昨今の平和な時代で「今の世は悪い」とか「生きていてもしかたない」とか言って若者が集団自殺したり、自暴自棄になって殺人事件を起こしたりするが、「アシュラ」の時代に生まれていたら懸命に生きるのだろうな‥と思ってしまう。
平和だからこそ「生」へ対するリアリズムが欠如し、地獄だからこそ「生」を追い求める。
人間が普遍的に抱えている問題が本作の中にはある。
小学生の時に読んでたら人生観変わったかな アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
江戸時代の庶民の生活は時代劇なんかでうかがい知ることができますが中世となるとまったく見当もつきません。ただ、飢饉が続いて飢え死にする人が多かったろうなくらいは想像がつきます。
面白くて上巻下巻と一気に読みましたが、収束に向かうにつれて「この本には解決がない」ということを理解しました。清い恋は最後に実る、正しい人は幸せになる、親と子の葛藤は解決に向かうといった物語に対する先入観もことごとく覆され混乱しますが、だからこそありきたりでない真実が伝わってきます。
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