カスタマーレビュー
これでもかとばかりに話がつながる傑作 ぼくと1ルピーの神様
映画はアカデミー賞、この小説は全世界でベストセラー。
騙されたと思って読んでみましたが、これは最後まで読み切ってこそ感動が味わえる作品です。
質問ごとに、その質問に答えられたエピソードによってコンテンツが成り立っているため、読み進むうちに、中弛みするように感じますが、決して途中であきらめず、読みきることをお奨めします。
最後に「怒涛のサプライズの嵐」が待ってます。
フィクションだからこそ成り立つ話ではありますが、映画「バックトゥザフューチャー」同様「未来は自分で掴み取るもの」というアメリカンドリーム的な思想がこの小説のテーマとなっています。
「十億は誰の手に?」に正解し続けた‘僕’の波乱万丈の18年 ぼくと1ルピーの神様
本書は、ヴィカス・スワラップのデビュー作であると共に、「作品賞」「監督賞」も含めて、’09年第81回アカデミー賞の8部門を受賞したダニー・ボイル監督による『スラムドッグ$ミリオネア』の原作である。
映画を先に観てから読んだが、原作では正解に至るまでのエピソードが一層詳しく奥深く描かれており、興味深かった。
クイズ番組「十億(日本円にして20億円位)は誰の手に?」に全問正解した18才のウエイター、‘僕’ことラムは不正の容疑で逮捕されるが、女性弁護士によって救われる。
ストーリーは、彼女に語って聞かせる‘僕’の18年間を回想し、それにしたがって、一問ずつ録画された番組のDVDが再生される形で進んでゆく。そして、ラムがなぜ正解を知っていたかが解き明かされてゆく。それと共に、新興諸国BRICsの一国として発展めざましいインドの、貧困層、政治や警察の腐敗、幼児虐待、強盗、殺人、売春、ヒンドゥー教とイスラム教の宗教対立などの、現代インドが抱える問題が明らかになってゆく。
捨て子として拾われた孤児ラム。ラム・ムハンマド・トーマスというヒンドゥー、イスラム、キリスト教の3つの教徒を併せ持った名前をつけられた‘僕’が、極貧の生活のなかでわずか18才にして死と隣り合わせで向きあってきた波乱万丈の人生。それこそがこの史上最高額の賞金をかけたクイズの正解であり、現代インドの実像なのだ。
それとあわせて、逆境をバネに、自分の両手、両足だけを頼りにして、いつも前向きに突き進んでゆく‘僕’の現実的なたくましさやしたたかさも読みどころであろう。
本書は、意表をつく、ミステリー的といってもいい卓抜な構成で読者を惹きつける感動作である。
外交官が書いた、スラム街に住む少年心理 ぼくと1ルピーの神様
本年度世界各国の賞を獲得した映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作小説。
主人公の少年がクイズ番組で全問正解を勝ち取った理由を、その激動な人生を振返りながら説明していく。貧困、犯罪、戦争、宗教、性、家族など様々な問題が、サスペンス調なテンポで描かれている。
驚いたのは、(上流階級でスラムとは無縁に育ったであろう)外交官が書いたとは思えないほど、インド社会の現実を鮮明に描き出していることだ。
インドでは賛否両論と聞いたが、批判的な扱いは、本来映画は究極なエンターテイメントであり、国内の貧困が大々的なテーマにされるべきではないという風潮が破られたからであろう。しかし原作者がインド人であることを注目すると、新たな側面を世界に知らしめるきっかけになったことを含め、個人的には評価されるべきだと感じる。
物語としては、お金では手に入れられない、賢く生きる知恵が詰まった、万人に向けた作品だと思う。
映画化されました。 ぼくと1ルピーの神様
私が一番好きなのは、最後のネタばらしです。
彼は運に身をまかせるのではなく、いつも自分で決断していました。
それを知ったとき、思わず最初から読み返してしまいました。
『ぼくと1ルピーの神様』は、
『スラムドッグ・ミリオネア』という題名で映画化されました。
日本公開は2009年・・・・早く見たいですね。
現代インドの抱えている現実を浮き彫りにする意欲作 ぼくと1ルピーの神様
クイズ番組で優勝し、10億ルピーを勝ち取ったラムが、インチキではないかと疑われる。しかし、ラムの人生は、すべての答えを知りうるほどに波瀾万丈だった。頼りになるのは、自分の体と知恵と幸運の1ルピーのコインだけ。
そこには、殺人、強奪、幼児虐待、売春、宗教対立など、現代インドの抱えている現実がある。クイズで賞金を勝ちとりながら、ランクアップしていくクイズ番組は、インドの階級社会を連想させもする。そんな社会に未だ深く根付いている人々の偏見や差別は、社会の底辺にいるラムが、富裕層へのぼっていくことを許さない。彼が嘘をついたのではないかという疑いをかけることそのものが、問題の多い現代インドの現状を打破する一番の弊害を、鮮やかに描きだしているのだ。物語としても抜群に面白いが、なじみの薄い現代インド文学を知る意味でも、ぜひ手にとっていただきたい一冊である。
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