カスタマーレビュー
取材は丁寧だけど……。 麻原彰晃の誕生 (文春新書)
本屋で偶然見つけ、タイトルにひかれて衝動買いしました。
生い立ちから事件に至るまで、麻原の実像を知る人たちに当たって
丁寧に取材しています。
でも分析がいま一つなのがちょっと残念。
いい素材を使っているけど、調理方法が変だから満足できないような、
そんな感じです。
終章の「ほんとうの聖地」のあたりがとくに象徴的です。
ハルマゲドン思想のルーツを東北に求めたところは面白いものの、
それがオウム事件のすべてであるかのようにまとめているので、
どこか違和感があるわけです。
ただし、素材自体は非常にいいので、あらためてオウム事件のこと
を分析したい人には、役立つ本ではないでしょうか。
興味深いが、不消化感が残る 麻原彰晃の誕生 (文春新書)
オウム真理教をどのように捉えればよいのか、なかなか糸口が見えない。そうした中、本書は麻原彰晃という人物のたどった道を丹念な取材によって描き出し、彼の抱えたコンプレックスにまで踏み込もうとしたノンフィクションである。
内容的には興味深いのだが不消化感がある。オウム真理教を考える上で、オカルトの話題が避けられないのはわかる。しかし、本書の後半、日猶同祖論で有名な酒井勝軍に麻原が関心を持ち、酒井が探し求めていたという“ヒヒイロカネ”をオウムが探し求めていたという話題に集中してしまうのは明らかに脱線だ。“ヒヒイロカネ”の研究に生涯をかけた市井の人物がいたことには、オウムという文脈を離れたところで興味はわいたが、麻原やオウム真理教の精神形成をどのような社会的背景の下で位置づけるかという問題関心で読もうとする人には不満が残るだろう。
何かが足りない、他の本と同様 麻原彰晃の誕生 (文春新書)
麻原誕生の数々のエピソードを丹念な取材で追っていることはわかる。ただ、オウム関連の本を読んでいつも感じる、麻原周辺、オウム周辺の知識は増えるものの、核心に触れられないもどかしさ。これは出生のこと、生涯のこと、周辺の声を追うだけではあの事件の数々の謎は全く解けないことを表しているのではないか。
偏見に満ちた自説でもいい。そこに核心に到達するためのはしごを誰かがかけなければ、狂気の本質にはいつまで経ってもたどり着けないと思う。
麻原とはなんだったのかの一応の理解ができる 麻原彰晃の誕生 (文春新書)
地下鉄サリン事件、麻原逮捕から11年。改めて、距離をおいて、麻原とオウム真理教とはなんであったか、考えるいいきっかけになった。戦後、経済成長手前の貧困、盲学校での支配、暴力団との接点、漢方・鍼灸と健康食品、そして薬事法違反、ヨガ、酒井勝軍からオカルトへの接近、そして精神・宗教・政治への展開。そのときどきの、主流とはいえないまでも、世相をうつした、麻原の歩みが良くわかる。そして、「見えるものが見えないものを支配する」なかでの欲望の満足という、盲学校時代に身についた、ありかたを、「見えるもの」であることを偽りつづけることで一貫させてきたのだと、知った。
麻原の青春時代 麻原彰晃の誕生 (文春新書)
麻原の過去について、これまで雑誌などを通じて断片的に聞きかじっていた。九州出身で盲学校に通っていたこと、東大受験に失敗したこと、偽薬でつかまったこと。しかし、トラウマだとかルサンチマンだとかの用語で説明されるエピソードからは彼の具体的な生活の雰囲気がつかみづらい。
この本ではこれらの間にあったことも含め時系列に並べられ、彼の世俗生活が隣人の証言を交えて具体的に描写される。盲学校時代の先生、予備校の同級生、鍼灸時代の馴染みの寿司屋のオヤジ、偽薬で捕まえた警察官、彼が通った自己啓発セミナーの師匠など、直接彼に触れた人々の証言が生々しい。
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この本に載っている過去の麻原の写真は中学校の集団写真の断片と偽薬時代の広告にのった小さな半身だけ。10代20代のころの彼の写真がもうすこしあるといいな、と思った。
ネットで流通している麻原在日二世説についても少し触れている。
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