世界初のミステリとされるポーの『モルグ街の怪事件』以来、連綿と書き継がれてきた、一見出入り不能な場所、いわゆる密室でおきる不可能犯罪の謎。糸と針を使った機械的なものから心理的な盲点をついたものまで、考え出されたトリックは数知れず。それでもいまだに新しい密室ミステリが年に何作も発表され、密室はミステリの花形であり続けています。
そんな密室短編ミステリを集めた本書、カーやクイーンといった大御所のものからチェスタートン、ポーストの古典的名作、さらにはパロディやSFまでと幅広い作品が収録されていて、同じテーマを扱っているものの読んでいて飽きることもなく、これらの作品を選んだ編者の手腕は見事なものです。
残念なことが一つ。原本には他に二作が収録されていたのですが、翻訳版の本書では紙幅の都合で割愛されてしまったとのこと。そのうちの一作はザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』で、文庫版で出ているので読もうと思えば読めるのですが、こういう編集はどんなものでしょう?上下二冊に分かれてもいいから、原本と同じ形で出版してもらいたかったなあ。
サンテッスンの名アンソロジーが文庫化されて読みやすくなりました
古来から読者を魅了してやまない
「密室殺人」!この真髄がこの本の中に凝縮
カーやロースンの古典
マローン弁護士のユーモアもの
短編の名手フラナガンの歴史物など
読むのをやめることができないほどの内容です