カスタマーレビュー
山口淑子がいなかったら、満州国、日本、中国の歴史も大きく変わっていた 李香蘭 私の半生 (新潮文庫)
思った以上にボリュームがあり、かなり読み応えがあった。
映画「ラストエンペラー」を見て以来、日本が建国した「まぼろしの傀儡国」満州にかなり興味があり、最近その手の本を読み始めたが、歴史的な背景をここまでわかりやすくそして興味深く説明している本も珍しいのではないかと思う。
なぜなら、「満州、日本、中国の芸能界」にいた李香蘭こと山口淑子が出会った人たちは芸能人のみならず、政財界の要人、川島芳子との交流を説明したくだりなどは非常にリアリティがあり、時間を忘れて読みふけってしまった。
中国で生まれ中国で育った日本人が、中国人として暮らす。
そして第二次世界大戦で都合よくつかわれ最終的には死刑になりかけるくらいの重罪の容疑者となる。
彼女の負けず嫌いの性格からなのか、あくまで淡々と当時の様子、考えを説明したいのか、あまり悲壮感はこの本からは漂ってこない。
途中で出てくる李香蘭の写真などを見ると、日本人離れした美しさにただただ見とれてしまう。
山口淑子が誕生していなかったら、満州国、日本、中国の歴史も大きく変わっていたんじゃないかと思う。
日本人ならぜひ読みたい一冊。
女優・李香蘭 李香蘭 私の半生 (新潮文庫)
日本と中国の危険な橋のあいだに立ちながら、スターとして名を馳せた女優・李香蘭の自伝。
幼い頃、テレビで沢口靖子さんが李香蘭の役を演じていたドラマを見たことがあり、その話中で、戦争で疲れた兵士たちの前でひとときの慰めを与えようと「荒城の月」を歌うシーンが印象に残っていた。大人になってからあのシーンを思い起こして、ああ、あのような人こそが真の「女優」なのだな、と思ったものである。
本書を読んで感じたのは、彼女は、想像を絶するような激動の時代や世相に「揺さぶられた」のではなく、常に「自分の信じたことにのみ身を傾けてきた」ということだった。その堅固なまでの彼女の性格というか信条への固執は、ひとりの人間としてはやや高圧的かとも思ったが、そうであったからこそ、彼女はあの時代に華を与えることのできた「女優」であったのだ。女優の姿とはこういうものなのだろうと思った。どれほどの危機に晒されようとも、常に「自分」を持って世の中と接する。これは戦時中という時代が彼女をそのように作り上げたのではなく、彼女自身がもともと持っていた強さなのだろう。
また本書では、あの「男装の麗人」川島芳子についての意外すぎる記述もあり、個人的にそれらの部分は興味深く読めた。
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