「ヨーロッパ退屈日記」よりは、若干勢いがないと感じる人も多いはず。でも、独特の価値観を押し付けでなくさらりと断定して憚らない切れのよさは健在です。題名を気にせず、(といっても気になる人はいないか)誰でも楽しめます。料理と、服装についての美的感覚は、やはり見習うべきでしょうか。ホンモノとは、何かを学ぶ上でも読んだほうが良い本の一冊です。
似非欧米文化の氾濫する我が国に対し、本物を愛する姿勢を示す本です。
直接には、ファッションや料理など表層的な文化を扱っているにすぎませんが、そのような次元を突き抜けて、我が国の文化全体に通ずる批評が展開されています。
つまり、我々は西洋文化を表面的には受容したけれど、その本質は何ら獲得していないのではないか、我々は猿真似をしているにすぎないのではないか、と。
とはいっても、このように深刻ぶって、重々しく語ることは、この本に全く相応しくないでしょう。
ここから学ぶべきは、眉間にしわを寄せることなく、むしろにやにや笑いながら、軽やかに批判していく精神なのですから。