カスタマーレビュー
こんなサラリーマン人生で正気でいられるはずがない。 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
アフリカ含め10年の島流し。で、帰ってきたら未曾有の墜落事故の遺族世話係・・・。
この小説のモデルとなる某航空会社は就職人気ランキングで常に上位ですが、この小説を
読むと自分の子供を入れたいとは絶対に思いませんね。主人公・恩地には実在のモデルが
いるというのもビックリですが、この本の映画化にその会社が大反対したというエピソード
も何となく頷けます。あの暑かった夏、TVも新聞も毎日このニュースばかり。そんな日々
が眼前にまた蘇るような、生々しくかつテンポのよいストーリー展開。アフリカ編同様、
あっという間に読了しました。
素晴らしいが、フィクションかノンフィクションか、悩ましい。 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
本作は、全5冊からなる「沈まぬ太陽」の最大の山場ともいえる、
第3巻・御巣鷹山篇で、周知の通り、1985年夏のJAL123便墜落事故をモデルとしています。
事故の再現に始まり、事故現場の凄惨な様子、遺体収容を巡る人々の憤り、
航空工学の関わる事故原因の究明、遺族への補償交渉などなど、
多岐にわたる取材に基づき、多角的に世界最大最悪の航空機事故が再現されています。
主人公は、先のアフリカ篇で日本帰国が叶いながらも閑職をあてがわれていた恩地元であり、
誠実な彼が、再びより過酷な仕事、すなわち、事故現場における調整役及び、
憤る遺族に対する補償交渉に携わって苦悩し、また人間性の美しさに打たれていきます。
さて、本作は非常に密度が濃くて充実しています。
中盤の、有名な遺書のクダリや、息子を失った母親の手記には、落涙してしまいました。
そして、このような悲しくも美しいエピソードには実名が用いられています。
むろん、著者の、主にご遺族に対する敬意と誠実さの表れであろうし、
以下、自分の抱いた感想が卑しいもののように思えるのですが、
本作では、架空の登場人物と実在・実名の人物とが入り混じって描かれており、
読み手としては混乱をきたしてしまいます。
例えば、序盤に(実名の)生存者に無断で卑劣にも接触してしまう、恩地の宿敵行天は、
複数のモデルの人格を掛け合わせた全くの架空の人物とされています。
明らかにJAL123便墜落事故をモデルにしているものの、大河「小説」である以上、
このような混交があっては、読者としてどう向き合えばいいのか…。
本作の価値を認めるのにやぶさかでないだけに、複雑な思いがしました。
涙なくして読むことができない 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
事故当時、中学生でしたが、この墜落事故は鮮やかに覚えています。この御巣鷹山篇の冒頭の管制室の緊迫したやりとりで、当時の記憶がよみがえってきました。乗客の、家族の、救援者の、そして管制室の、事故にかかわってその無事を思った人すべての無念と、絶望を思うと、想像を絶します。また、被害者への応対についても、あまりにも家族の気持ちを踏みにじる補償の進め方に、憤慨しました。関係者の無念、家族を失ったことの空虚な思い、こういったことに想いを馳せると、読んでいて涙が止まりませんでした。
前篇でアフリカから呼び戻され、幸福の兆しが垣間見えたかに思えた主人公の恩地もまた、この事故にかかわります。一度狂った歯車が、狂い続けている状況に直面し、読者の私もやるせない気持ちになりました。作品中では、一企業がここまで執拗に一個人に対して報復をするのかという調子で書かれていますが、恩地の扱いが永田町でも話題だと書かれていた文章を見逃すことができませんでした。つまりは、企業のみならず、一国家が恩地に対する攻撃を後押ししていたということです。ふとしたきっかけで職責を果たしたばかりに「アカ」のレッテルを貼られ、一企業どころか、国家からこうも攻撃されるという理不尽が許されていいものかと感じました。
まだ、3篇目までを読んだところですが、企業の社会責任とは何なのか?多面的に考えさせられます。
文芸ではない! 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
毎年、8月近くになるとどうしても思い出す日航機事故。事故に関しては、いくつも本が出ていますが、それでもこの本は、事故を無視できない人は読むべきです。他の究明本にない、独自の視点がいくつか盛り込まれています。著者の本は、どれもそうですが、事実に裏づけられた迫力に脱帽です。
百万の言葉を弄するより、心を打たれたのは 沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
この作品は、取材した事実に基づき、小説的に再構築した作品である、
という事になっている。しかし、航空史上最大のジャンボ機墜落事故の
克明な記録として、遺族の遺体確認や補償交渉のリアリティー、生々しさ
には圧倒される。作者の詳細な取材力には感心する。
しかし、もっとも心を打たれたのは、迷走する飛行機の中で家族に向けて
書かれた遺書を読んだ時だった。百万の言葉を弄するより、手帳に書か
れた短い文章の中に家族への思いや無念さが伝わって来る。
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