カスタマーレビュー
情念と情景と・・・。 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
実際に目の前にしているかのようなアフリカの自然と会社の理不尽な仕打ちに慟哭する主人公恩地の情念の描写が絡み合いながら、それこそ息もつかせぬテンポで進むストーリー。
この分量を忘れさせるほどにぐいぐい引き込まれ、「アフリカ編」一気に読みました。
「アフリカ編」の最後は意外とあっけなく・・・な感じでしたが、読み応え有るビジネス小説です!
元・駐在員家族として…。 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
本作は、全5冊からなる「沈まぬ太陽」の第1部(上下巻)であり、
筋を曲げない硬骨漢の恩地元が、会社組織の中で味わう10年にわたる苦難を描きつつも、
全体の中では、第3巻・御巣鷹山篇の前フリの役割を担っているともいえます。
国民航空社のエリート・恩地が、労組委員長の職責を全うし、従業員の待遇、
すなわち空の安全を軽視する経営側に対し、正義感から激しい権利擁護活動をする。
これら本書の労組・不当労働行為を巡る部分は、労働法の勉強の教材になりそうです。
しかし、その報復人事として、パキスタン・カラチ支店への異動を命じられ…。
物語は、現赴任地ケニア・ナイロビでの野生的かつ空虚な生活が描かれつつ、
臥薪嘗胆の日々が回想されていく…。玉にキズなのは、回想がかなり長く、
やや間延びした構成とも取れる点でしょうか。
本書は、個人の尊厳に対する組織の過酷な仕打ちが克明に描かれており、
大多数の従業員の冷たい視線や理不尽な言動に、宮仕えの悲哀を感じさせます。
もっとも、本編で十分に描かれた国民航空の陰惨な実態が、第3巻、
御巣鷹山の悲劇の前提条件を形成していくという主張が、言外に込められています。
また、個人的に感銘を受けたのが、海外駐在の苦労や、
恩地の家族(妻と兄妹)の心情がリアルに描かれていることです。
私事ですが、私も幼時にのべ11年、アジアの3都市で父親の駐在に付き合いました。
幸い報復人事ではなかったよう(笑)ですが、母と私、妹(恩地家と同一の構成)は、
度重なる引越しや転校が嫌で、私などは情けなくも毎度メソメソしていました。
思うに、本書に表れた、発展途上国での生活の実態、それに対する家族の感情はリアルです。
同時に、おそらく屈託なく仕事をしていたように見えた父も、
少なからず異文化との接触、狭い社内での軋轢に耐えていたのではと推測します。
そういう意味で、本書と第2巻は、私にとってかけがえのない書物です。
そして、現在僻地で頑張る駐在員の方は、ぜひ、お子様に本書を差し上げて下さい。
私は約20年前に本書に出会いたかったです。
これから、すぐに(2)を読み始めます 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
筆者も心待ちにしていた映画化が実現するとのニュース。
筆者も心待ちにする、これまで映像化が何度も流れてきた、
そんな紆余曲折を耳にし、これは面白いに違いない!と同書を手にしました。
面白いです、実に面白いです。
登場人物も一人一人が丁寧に
描かれており、一気に読みきってしまいました。
これから、(2)をすぐに読み始めます。
物語にのめり込みながら、企業と政治、官僚の癒着構造もわかる名著。 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
全5巻ですが、のめり込むように一気に読めます。
あくまでフィクションということにはなっていますが、取材と事実に基づいた物語は、
この日本に生きる我々に、数多くの課題をなげかけています。
ほかの先進国の政界や企業、官庁では考えられないような利権、裏工作、癒着の構造。
それを糾弾するどころか、加担さえするジャーナリズム。
主人公にまつわる物語もかなり読み応えがあるし、
御巣鷹山事故の部分は涙なくしては語れませんが、
それより作者が書きたかったのは、こうした日本社会の暗部と
それを変えられない憤り、虚しさのようなものだと思いました。
できるだけ多くの日本人に読んでいただきたい本です。
組織と個人の関係を考えさせられる一冊 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
御巣鷹山事件を題材に、組織が有する不条理が如何に多くの個人の尊厳を踏みにじるかが綿密に描かれています。
将来の出世を約束されながらも自らの信念を貫き通す主人公が、労組問題をきっかけに海外僻地に追いやられ組織から駆逐されていく過程が生々しく語られていきます。御巣鷹山事件というひとつの事件を、一組織にまつわる事件としてのみならず組織外の政府、顧客、従業員やその家族まで含めた社会の一風景として絶妙に切り出している点が臨場感を高めています。
一体どうしてこのようなことが起こりえるのか、会社とは「誰」なのか、主体のない組織が如何に狂気じみた存在か、サラリーマンとして深く考えさせられます。特定の個人や組織だけでなく誰もが有し得る不条理が組織の名のもとに個人の運命を翻弄する様が描かれており、多くの方のレビューにある通りフィクション・ノンフィクションの議論はあるものの、本書は組織と個人の関係を考えさせられる社会心理学的な良書ではないでしょうか。
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