カスタマーレビュー
岸辺の百夜行アルバム 光
う〜ん、何だろう、この読後感の虚しさは。やはり三浦さんにこういう暗い話を書くのは、向いてないんじゃないか。
既に作風を知っている作家の場合、できるだけ粗筋とか書評とかを目に入れないで、まっさらの状態で読み始めたいと思っているのですが、今回ほど裏目に出たのは久しぶりです。本のタイトルと最初の2ページぐらいを読んで、「寂れた島が舞台だし、『白蛇島』みたいな話かな」と思って気軽に読み始めたのですが、意に反して、重い話でした。しかも別に小説としての新機軸があるわけでもなく、『岸辺のアルバム』やら『百夜行』やら『残虐記』やら、どこかで目にしたような作品の上辺を掬い取っただけ、みたいな感じで。
個人的に、三浦さんの才能の本質は小説家ではなく(あ、言っちゃった。でも「直○賞」を獲るの、早すぎたと思ってます)、オタク系エッセイストだと思っているので、もしこの作品のどこかに「光」があるのだとしても、残念ながら、それは私には届きませんでした。ほんの一筋さえも。
救いがなさ過ぎる・・・ 光
美浜島より美しい場所はないと信之は確信している。その美しい場所が真夜中,突然の津波という暴力によってかき消された。信之と幼なじみの美花,年下の輔を含む数人を残して,島はほぼ壊滅状態になった・・・
津波によって取り残された人々とそこから派生する暴力が数年後,成長した主人公たちのもとへ帰ってくる物語。いままでの同作家の読んだ本と異なり,あまりにも救いがなさ過ぎる内容と結末に私には受け入れがたい物語であったと感じる。しかし,その「暴力はやってくるのではない。帰ってくるのだ。」の言葉のもとに,圧倒的な冷たさが前編に満ちておりその冷たさから恐ろしくも感じる話であった。それが作者の技と言うのであれば,うまいと言わざるおえない話ではある。
これまでの作風一変?昼ドラのようなダークな世界 光
おそるべし,三浦しをん。「風が強く吹いている」で見たBL風味の明るい作品というイメージをくつがえすダークさが強烈。章ごとに視点を変え,同じシーンを別の語り手から表現する試みも面白い。
川崎が舞台にされていますが,小杉のマンション地帯,多摩川沿いの住宅密集地,そして川崎区の工業地帯。町並みとそこに生きる人々をやや誇張して描くことで,この物語が描きたい光と影のコントラストが出ているように思えます。
「暴力は,やってくるのではなく,帰ってくるもの」。物語の終わり方はやや平凡だけど,このフレーズを中心に据えることで,ハッピーエンドではない結末がこの家族の前途に待っているようで,コワイです。
容赦ない力 光
圧倒的な「力」が物語のなかで吹き荒れている。
タイトルの『光』の一文字に一縷の望みを抱いて、読んでも読んでも
それは見えなかった。
一瞬にしてあらゆるものを剥ぎ取っていった自然の脅威。
身一つになった三人の子供たちが、その時抱えた秘密が、
その後の人生を縛る。
秘密を持つ。その整合性を保つために、縛られる。
綻びかけて初めて、秘密は「秘密」という名を持ち、三人の人生に覆いかぶさってくる。
全てを奪われた者が生きる術とは、それを取り戻すために努めるのではなく、
なにも始めからなかったようにして生きることだった。
「なかったこと」を作るためにまた罪を重ねて……。
酷薄。無惨。惨酷。理不尽。諦め。蹂躙。
抱えた疵が疼き始めた三者の結末は、酷薄で容赦ないものだった。
それでも生きてゆく人間とは、いったいなんだろう。
人為によらず再生を遂げていた「島」だけが眩しかった。
20年という時間がまざまざとそこに在った。
嗚呼。畏るべし。三浦しをん。
エグみのある『三浦しをん』 光
キレイめなシンプルの表紙とは真逆の、 なんともドロリとしたお話。 文自体は淡々としていて一気に読めるが、 ぞっとする場面が何度もある。 愛憎とかそんな言葉では表わしきれない、 人間の汚さ・脆さ・怖さが包み隠されずストレートに描かれている。
それでも読みたいと思わせるのが 『三浦しをん』という作家のすごいところ。
ハッピーエンドではない。 読んだ後の何か持ってかれたような虚無感を 是非味わってほしい。
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