カスタマーレビュー
触れもせで 触れもせで―向田邦子との二十年 (講談社文庫)
「おしゃれ泥棒」の中で、向田邦子は、他人の幸せだけは奪えなかったと書かれている。しかし、彼女の感受性なら、自分と他人の幸せの狭間で、深く悩んだはずである。だから、「身代わり観音の中」で「・・死にたいと思いつめた覚えもなく、人を呪う不幸も味わわず・・」と彼女が書ていると言われても私は信じない。きっと、神様に「そんなに辛いならこっちにおいで」と招いてもらって、初めてその悩みから解放されたのであろう。この本は、向田邦子の「表現」をそのまま紹介しながらも、彼女の「真実」を確実に、ある意味では容赦なく、しかし久世氏一流の暖かさをもって、読者に提供している。彼女の「真実=本心」に接して胸が詰まったところが、私には20箇所もあった。五つ星の所以である。
清々しい読後感。 触れもせで―向田邦子との二十年 (講談社文庫)
気弱で可愛くてちょっと不良の弟と、自分の哀しみはしっかり胸に畳んで颯爽と生きる姉。 久世さんと向田さんの関係がそんなふうに見えました。 時間には正確な向田さんが、久世さんとの約束のときだけ平気で遅刻するエピソードもそれだけ気を許してたんだなあと思ったし、向田さんの快活な表情の裏に隠された孤独の影を見つめる久世さんの暖かい眼差しにも感動しました。 二人の間には恋愛感情のかけらもなかった。と書いてありましたが、そういったものを超えた、深いところで通じ合ってる素晴らしい関係があったのだろうと思います。 向田さんとの思い出も、二人が少年少女時代を過ごした昭和十年代の思い出もどちらも清々しくて暖かい気持ちにさせてくれる、素敵なエッセイ集です。
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