カスタマーレビュー
桜庭一樹っぽいけれど…… ファミリーポートレイト
桜庭一樹作品はとても好きだったのですが、これはがっかりしました。
ある意味桜庭作品らしいのですが、どこかで読んだことがあるような、今までの著者の作品をミックスしてクオリティを下げた印象を受けました。
母娘の逃亡生活、言葉が喋れない幼少期、スカートをはいた男の子、葬式婚礼、自殺、DV、殺人、同性との関係、ポルノスター……など、他にも過激な出来事や設定が多々出てくるけど、それら全てが理由づけはされず、物語にも響いてこない。
説明しないことで想像させようとしたのかもしれないけれど、色々な出来事があまりに唐突に説明不足で起きるし、人はたくさん死ぬし、心理描写は足りないどころか同じ様な繰り返しばかりに思えた。
ほとんどが不必要な要素なんじゃないかと思ったほど。
退廃的で、排他的な愛と、生と性、混沌と混乱。著者自身も混乱しながら書いたのではないかと思うほど、後半は特にぐちゃぐちゃしていた。
かなりのページ数で読み応えがあるはずなのに、中身を伴わずに無理やりページ数を増やしたような印象が、読んでいて疲れただけだった。
一言でいえば「桜庭一樹≪っぽい≫」けれど、表面上の過激さだけを詰め込んでみた薄っぺらいダイジェストの様な作品。
心のデトックス小説。 ファミリーポートレイト
レビューを読むと賛否両論あるように、この物語の前半と後半の様子は違っています。
前半のマコとコマコの長い旅〜は私の好きな桜庭一樹の世界、「私の男」に通じる密閉された感情のむせ返るような物語。誰もが経験したことのある惨めさ、過去への怯え、背徳が静かに胸の奥を浸していくような…官能にも似たこの世界観が好きです。
後半のコマコの一人旅(成長)〜は私にとっては少々退屈でした。鬱屈した感情が徐々に解放され、拡大してゆく様子に無理があるといいいましょうか。コマコが骨身を削ってできた作品が「セルフポートレイト」って…これは作者の自伝だった?まさかこれがオチ?…と不安になり重苦しい気持ちが増しました。
前半には★★★★★、後半には★★くらいの気分です。
前半の物語〜ふだんは気付かないふりをしているだけの心の闇に静かに引きずり込まれるような気持ちにさせられる〜私にとっては、心のデトックス小説です。
現実に疲れた人に ファミリーポートレイト
こんな主人公の生き方はあり得ないが、作者の筆力があるので、なぜか成立してしまっている。
そこにはフィクションとか虚構が持つイヤらしい胡散臭さはない。
普通読むに耐えられない内容の小説だと思うが、何故か嫌じゃない。
私は主人公と全く人生が違うので、共感めいたものは全くできない。
しかし、そういう人生もアリなんじゃないか、むしろそういった数奇な人生が
送れてちょっと羨ましい、と羨ましがり屋で平凡な私は思ってしまう。
ただ少し気になったのは、後半がちょっと苦しい。
何が苦しいって、主人公がかっこよすぎるところなのかも。
人生のステージが上がったり、救いがあったりするのはいいことだけど、
やりすぎるとリアリティがなくてそれこそ胡散臭い。
大学教授の実父とインタビューで話すところとかさあ。
いいんだけど、なんかむず痒い。
フィクションはリアリティがないと駄目だというのはよく聞く話だけど、
何となくこれ読んで納得。
でもとってもいい小説ですよー。
基本的にしっかりしたフィクションなので自分が生きている現実に
疲れた人は読むとちょっとなごんで救われた気持ちになるかも。
暗すぎて読むのが苦痛です ファミリーポートレイト
暗くて、光が見えなくて、気が滅入ります。
母に連れられ、日本中を点々と逃げるように生きてきた駒子。
学校にも通わせてもらえず、普通や常識とは何かを知らずに大きくなってしまった。
しかし、母との突然の別れにより、普通の世界で生きていくことになります。
前半の逃亡生活の部分は老人だらけの村、葬式婚礼、目の見えない大家さん・・・など幻想的な雰囲気も漂う。
でも後半は社会からはみ出して生きる苦痛がにじみ出ていて、より暗さも増す。
虐待されても、きっと駒子にはそれがひどいことだとは思えなかった。
ママと駒子、お互いだけがすべてでつながっていた2人。
ママと駒子の距離感は、「私の男」の親子のそれと似てるなぁ。
あまりにも濃い血、どす黒いどす黒い粘り気すらするような血の深さを感じました。
「私の男」+「赤朽葉」+「七竈」? ファミリーポートレイト
第1部はとにかく読むのがつらくなるような内容でした。
これは「私の男」に近いように思います。
読んでいる間は周りの空気が淀んでいるようにすら感じるほど、
非・現実的でした。
でもだんだんと「実際にこんな親子もいるだろうな」と思えてきたのが不思議でした。
それは主人公・駒子の、ひたすら母・眞子を思う気持ちが伝わってきたんだと思います。
逃避行を続ける、何も持っていない親子には、
お互いが一番大事なものだったのではないでしょうか。
そう考えると、切なくなりました。
この本を駒子の成長記録と考えると、
「少女七竈と七人の可愛そうな大人」に共通しているし、
母・眞子の物語と考えると「赤朽葉家の伝説」と同じ匂いもします。
その判断は、読んだ人それぞれで違うかと思いますが、
わたしはいろいろな要素が詰まった、”これぞ桜庭一樹の世界!”と思いました。
ラストはきれいにまとまったというか、
ちょっとグッときました。私は好きです。
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