カスタマーレビュー
納得のいくラスト きのうの世界
恩田陸さん得意のパラレル感が味わえます。
いつも、はぐらかされて終わってしまう話が多い中、
この作品は、起承転結してますね。
なんで、どのように死んだのか、はっきりしていて、すっきりします。
いつもの考えさせるようなラストではありません。
願うなら、本作に出てくる男のように死にたいものです。
視点に関する技巧 きのうの世界
恩田陸の超絶的な「かたり」の技巧が炸裂している作品です。ミステリー、ホラー、ファンタジーといったあらゆるジャンルの要素を鏤めつつ、あらゆるジャンル小説として中途半端です。でも、この作品は、そもそもどんなジャンル小説でもないように感じました。読み方はいろいろあるし、結果としてこの作品を気に入る人もそうでない人もいると思いますが、ぼくは星5つつけます。ぼくはこの小説を視点に関する技巧を凝らし、物語世界を俯瞰する視点とは何なのかについて思いを凝らした物語として読みました。というか、読み終えてそう感じ入りました。目次を見ても、この小説にとって視点が重要であることが明示されていると思います。
この小説の冒頭は二人称という珍しい視点ではじまります。しかも、中心となる「あなた」が知り得ないこともどんどん語られ、二人称としての整合性が簡単に破られていきます。違和感のある描写の行間に登場人物を「あなた」と呼ぶ「語り手」の存在が暗示されているようにぼくは感じました。
19章と3つの「幕間」からなる物語は、変幻自在に視点を変えていきます。物語としてのクライマックス、今日と昨日を隔絶するある大掛かりな出来事が描かれたあと、短い2章を添えて、物語は締めくくられます。この2章では、主にある一人の人物について語られますが、それぞれの章で視点が切り替わります。そして、最後の1ページで、さらに語りの視点が異様なものに変容します。最後の1ページに現れたこの視点こそが、冒頭である人物を「あなた」と呼んだ語り手の視点なのだろうと、ぼくは解釈しました。そうした異形の視点の存在そのものが、この物語を象徴しています。「これ」を「このように」書こうとする着想が凄まじいし、すばらしいと思います。
ぶ厚いのに一日で読んでしまった きのうの世界
本当に、恩田陸って、文章力というか、描写力というか、物語の吸引力はすごいと思う。 多くの方が書いてる通り、これできっちり結末で落とし前をつけてくれたら、頭一つ抜けた存在になるだろう。 けどこれだけ何冊も、結末ボヤかしたり、後は想像してね…だったり、SFチックな最後にしたりするのは、本人が敢えてしてるんでしょうね。 現実的な結末を、書こうとはしてないのかな、と思う。 「推理小説」を読んでるんだ!という思い込みを捨てて今作を読むと、十二分に楽しめるし、立派に着地してると思う。 恩田陸が書こうとしているものと、私が彼女に求めるもの、それが違うんだな、うん。 それに結末は抜きにしても、彼のような人は現実にいそう。
この不安感と不安定さが恩田陸の世界 きのうの世界
最初からとにかく謎・謎・謎!!!
しっかり読んでいるんだけど、うまくこの世界観に入り込めなくって、
置いていかれてるような不安感は最初から最後までありました。
けど、このどうしようもない不安感と不安定さが恩田陸の得意とするところ。
まったく関連性のないようなパズルのピースを不安いっぱいではめ込んでいくようなそんな心地のする作品でした。
が・・・。町で起きた殺人事件の謎をひも解いていくお話だったはずが、
意外な方向に転がっていってしまい、最終的に「とんでも系」な結末が待っていた・・・
さすがにこの結末は想像してませんでした。
・・・・てか、500ページ近くも読んできたのにあまりの突拍子のなさに脱力。
長いわりにはすっきりとしないモヤモヤの残る作品でした
ご都合主義的まとめ方 きのうの世界
他のレビューでも書かれていますが、導入〜中盤までは上手い。 不思議な街を舞台に、謎の失踪を遂げた一見平凡な人物、彼を追って街に現れる『よそ者』。ぐいぐいと引き込まれていきます。 しかし、中盤を過ぎるとM町の秘密は(ヒントから)粗方予想した通りのものだっり、本筋に食い込んできそうな『よそ者』は殆んど絡まず。秘密を知る女性は、思わせ振りなだけ。 最初に提示された、失踪やら云々も、偶然に偶然が重なった結果…。あまりにもご都合主義が過ぎます。 登場人物も、他の作品と似たり寄ったり。 もっと広げた風呂敷を畳むのが上手ければ…。
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