村上春樹の作品は大学生のころから熱心に読み始めました。どの作品も非常に好きで毎年、何冊かは読み返したりしています。今年、自分は24歳で「1973年のピンボール」の主人公と同じ年齢です。状況はだいぶ違うけど、大人になったけど、みたいな悲しさと秋が深まる寂しさみたいなものを、今年、この全集で読んだ時は、いつもより深く感じたような気がします。
物語と言う体裁をなしているようななしていないようななんだけど、ただただ日常に見える景色が秋色に染まっていく、そんな1冊です。
休職生活に入ってから冬が過ぎ、春が訪れてそして夏がやってきた。ぼくにはかかえきれないほどの時間がある。「全作品」を通して初期3部作+ダンスダンスダンスを読み返してみようと思ったのはそのありあまる時間の故だったかも知れない。そうでないと日々の生活で腰を落ち着けて本を集中して読むなんてそうそうできることではない。ぼくはこの2作品を10代の後半に読んだ。あれから10年近い歳月が流れている。再読して感じたことは、ぼくが認識している村上春樹像とは違う人物が書いた小説のような気がしたことだ。エッセンスの萌芽のようなものは散見できるが、それだけだ。そして思うのは村上春樹は驚くべきほど遠い到達点までたどり着いているということだ。まだ時間ならある、これから羊をめぐる冒険を読み始めようと思う。
この作品を初めて読んだのは・・・・もう何年前だろう。
高校時代、どきどきしながら、ひと文字ひと文字噛みしめるように読んだ。
読み終えるのがもったいなくて、ことさらゆっくりと。
「僕」と「鼠」の物語の始まり。
「僕」は僕に溶け込み、僕は「僕」の目線で世の中を見るようになった。
そういった意味で、月並みな言い方だけれど、その後の読書遍歴のみならず、生き方を変えてしまうほどインパクトを持った作品。
それが、「僕」と「鼠」の物語だ。
彼の作品を読む際の僕の心構えは、昔といささかも変わっていない。
静かな場所で。
ゆっくりと。