カスタマーレビュー
余韻の残る佳作 乱鴉の島 (講談社ノベルス)
火村&作家アリスシリーズの長編で、このシリーズでは珍しいクローズドサークル物。
携帯圏外ではあるけれど、衛星電話、ヘリコプター、インターネットと、最近の孤島は現代社会から逃れられないようだ。
事件も、「孤島の連続殺人」からイメージするような装飾的なものではない。いつもながらの精緻な、でもどこか蜘蛛の糸をたどるような危うさを感じさせるロジックで解決に至るけれど、この作品のメインテーマは、事件そのものよりも、なぜ彼らはこの島に集まっているか...というところにある。
ポーの「大鴉」の詩をライトモチーフとして、人生の悲しみや不幸を運命と諦めることをやめた人間がどこへ行くのか...という問いが、全体を流れている。
エンディングが余韻を残し、作者らしい叙情的な作品に仕上がっていると思った。
有栖川作品としてはキレがない 乱鴉の島 (講談社ノベルス)
ノベルズになったので即購入。期待して読んでみてガッカリでした。
最後まで引っ張りまくったにもかかわらず、島に集まった人たちの秘密の目的が全然予想外ではない。
犯人の殺害方法にもちょっと無理があると思います。ネタバレで書けませんが、あの犯人に
あの殺害方法は無理があると思います。偶然性に頼りすぎてます。
また、有栖川作品にしては文中に余計な注釈が多すぎて疲れてしまいました。
有栖川有栖が著者でなければ酷評の嵐だと思います。
好きな作家さんだけに辛口の☆2つで。
安心して読める本格推理 乱鴉の島 (講談社ノベルス)
話題作がノベルス落ちしたので、久しぶりに火村ものを読みました。さりげなく読ませる文章のうまさは相変わらずですね。「朱色」もそうだったと記憶しますが、根っこの所でとてもロマンチックです。
プロットこそ偶然に頼っていて緩いのですが、主眼はそこにはありません(もちろんプロットも締まっていた方がよいのですけれど)。パズルがきちんとはまっていく、あの感じ。美しい論理の連鎖と伏線の回収ぶりが読ませます。本格ものとして安心して勧められる作品です。久しぶりに他の火村ものも読みたくなりました。
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