エディターレビュー
映画『スワロウテイル』や『ラヴレター』などを監督した岩井俊二が、14歳の少年の心象をリアルにつづった映画『リリイ・シュシュのすべて』を、自ら小説化したものだ。いじめ、売春、万引き、死といった生々しい場面を繊細な筆致で描き、映像作品の美しさそのままの世界を作り上げている。 主人公の蓮見は、家庭にも居場所がなく、同級生の星野たちからも陰湿ないじめを受けている。そんな蓮見の心の支えは、歌手リリイ・シュシュの紡ぎ出す音楽と、ほのかな恋心を抱いている相手、クラスメートの久野陽子だった。だが星野たちの手によって、神聖な存在である久野が汚され、唯一の救いであるリリイ・シュシュのコンサートへ行くのも妨害された蓮見の怒りは、ついに残酷な形となって爆発する。 フィクションである本書に現実味を持たせているのは、リリイ・シュシュの存在だ。架空の人物であるにもかかわらず、各章には彼女の歌詞や、インタビュー記事がたびたび挿入される。また、その孤独な生い立ちを説明することにより、彼女に共鳴する若者たちの姿までを鮮明にしてみせる。『ラヴレター』で描かれた中学時代が淡く切ない青春ならば、これはその裏側にある、思春期にぽっかりと空いた暗い穴だ。大人へと変わっていく過渡期特有の、純粋さと邪悪さを扱ってきた岩井作品の二面性を、より理解できる1冊である。
カスタマーレビュー
映画との差が面白い リリイ・シュシュのすべて
映画を見てからこの小説版を読んだが、特に津田詩織に関する描写の差に驚いた。
カイトをあげる場面など、映画では蒼井優演じる津田は強烈な印象に残る登場シーンが
多いが、小説版では比較的あっさり描かれている。
映画と小説の差を踏まえて、どうして映画ではいくつかの重要な設定が変更されたのかに
思いを馳せると、とても興味深い。
痛い....でも美しい....リアル....でも夢のよう リリイ・シュシュのすべて
怪我をした時の、皮膚のめくれた感じのような、ひりひりする、心の痛みを感じます。ここまで描写するか?!とあっけにとられつつも、この作品に出てくる出来事は今日もどこかで無数に生じているに違いない,,,,,その避けような無い切実な現実を突き付けてくる。しかし、救われ得る一瞬の可能性もまた日々伴っていることも隠してはいません。現実の痛みと美しさの両極端を揺れ動く時、それが人にとっては夢のように曖昧な印象作り出すものであることを教えてくれます。”リリー”がドビュッシーやサティの影響下で生まれたことはとても示唆に富んでいる。第一次大戦を挟んだベルエポック期のフランスのエーテル系作曲家と平和な様でとても痛々しい時代に生まれたエーテルの女神リリー・シュシュの結びつき(シュシュはドビュッシーの娘の愛称でもある。)。映画もぜひ見てほしい。ラストシーンで少女が弾くのはドビュッシーのアラベスク第一番。少年期の残酷な現実と残酷な夢。そこには逃れようのない美しさが伴う。全ての親と教師に読んで欲しいし、観て欲しい!!
ちょっとこれは・・・ リリイ・シュシュのすべて
読んだけど・・・
ちょっとこれは人を選びそうですね
思春期のリアルといえばそうだと思います。。
汚いような綺麗なような、いまいち理解できたかはわかりませんが。
読んだあと、すっからかんのような気分がありました。
感覚で読むのでしょうか。
強い何かに飲まれた感じで世界が変わりますね。
本当に強い何かを感じます。
けれど、この作品を思春期の方や情緒不安定な方に読んでほしくないです。
与える影響が強すぎるでしょう。
それほどインパクトのある作品ってことは素晴らしいです。が
よく、人間は汚いとかいいますよね。
この作品、それを一気に見せられたような妙な気分になります。
私だけかもしれませんが。
強く心揺らされる。
揺らされて元の位置まで戻ってこれればいいけれど、ただでさえ不安定な心だったら。。。
この、リリイ・シュシュのすべてを読んでこの世界に取り込まれて。
生きていくのが難しくなりそう。。。
思春期って絶望を味わったり、孤独を感じたり、、自分を見いだせなくて誤魔化そうとして。
ただでさえ自分がわからなくなる時期で。
この作品、共感したらとてもその後が怖い。
世界に入り込んでしまったら怖い。
思春期の後には、希望があってほしい。
自分を、未来を見据えるにはこの小説はとてもつらい。。。
私はもう一度読む気にはなれませんでした。
3つの連動する世界 リリイ・シュシュのすべて
映画を見た人は是非この本を読んで欲しい。
この本を読んだ人はぜひ映画を見て欲しい。
映画を見た人も
本を読んだ人も
ぜひ
「サイト」にアクセスして欲しい。
読者は
この本を通して
『紙』『映像』『ネット』の3つの世界を
体験することができるのである。
この作品の芯でもある「ネット」の世界に
実際に読者が足を踏み入れることができるのも
この本の魅力のひとつとなっている。
この本の中に出てくるサイトは少し違う「形」で
実際に存在するため
3つの世界観を楽しむことができる。
(アドレスも少し異なっているがネット上で検索可能である)
それぞれの世界において
『リリイ…』が異なった形で描かれているのも
岩井俊二の奥深さを垣間見せてくれる。
怖いくらいのリアル リリイ・シュシュのすべて
とりあえず、映画版のリリイ・シュシュは僕の今まででベストな映画なわけで、その原作であるこの小説。 ここまで中学生のリアルを描いた小説は多分これ以上存在しないと思う。映画とぜひ両方見て欲しい。ちなみに、話は少し変わっているから。 小説版の最後の一行、それと映画版の津田の「空、飛びたい」という一言を照らし合わせると泣けてくる。
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