実はこの本、旧スガシカオ詩集である「1095」を持っている方には
あまり目新しいものはない。
・4Flusher,Sugarless,「青空/Cloudy」までの歌詞
・4thアルバム以降のスガの動き(たいした事は書かれていない)
・スガへのインタビュー記事(女と食物の価値の低さについて)
・森川社長の寄稿「スガシカオとの出会い」(デモテープ秘話)
上記の情報はすべて、どうしようもないくらいスガシカオのマニア
であるもの(たとえば私のような)以外には、さして重要な情報では
ない。
ほとんどのアルバム・シングルを購入し、歌詞データ全てを手元に
揃えている者に取って真に価値あるものは、むしろ旧作とまったく
同内容で再掲載された、
【スガシカオ「遅れてきた青年」】
のみである。これは断言していい。
これを読んだと読まないとでは、スガを語る言葉の質に
天と地ほどの差が生まれるだろう。
もしあなたが前作『1095』を知らず、なおかつ詩集を買うほどスガに
興味を持っているというのならば、
この『+731』は間違いなく“買い”である。買って、まず最初に
「後れてきた青年」を読むべきである。
最初のスガシカオファン、森川社長の評者としての偉大さをかみ締める
ことで、あなたのスガシカオ生活はより一層甘美なものとなるはずだ。
「スガシカオの詩の世界はいつも万華鏡の中みたいに蠢いている。」
この表現を考え出した森川氏を私は大絶賛したい。
普通、歌の歌詞って、文章として見てみると、なんだかぎこちなかったり、「あれ〜!?」ってなったりすること、多くないですか?
―そう、あの不自然さが漂う「違和感」に似たアレ。
でも、不思議なことにスガ シカオ氏の場合、それが少ない。―つか、
ない。ほとんど、イヤ、まったく、ない。
歌の歌詞なのに、文章一本で勝負する詩人とひけをとらない仕上がり。
「あまい果実」や、「黄金の月」といった名曲の数々を、文章として味わう。…これがまたいいんですよ。
すごく落ち込んでいたり、疲れがひどいとき、この本を手にとって、文章としてのスガ シカオの詩に触れてみてください。
何か足りないもの、忘れてたもの、きっと思い出すはずです。
個人的には、「青空」と「AFFAIR」、「夕立ち?」、「愛について」をおすすめします。
それから、男の人の考えていることがわからない、そんなひとにもぜひ。
その他、説教臭くないアプローチや、ニュアンスのこだわりにも注目していただきたいです。