カスタマーレビュー
アルベルトの秘密 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
謎を追いつつ、マーセナス家とビスト家の事情が少し明らかになる。そして、出ました衛星軌道上でのモビルスーツ戦。物理現象をしっかりフォローしながら、重力と大気圏という巨大な不自由さを描いている。
また、「ユニバーサル・センチュリー」とアニメで不用意に用いられた言葉についても、なんとか説明を付けている。こういうところに、ガンダムを子どものおもちゃにしてはいけないという福井のこだわりが見える。
ガンダムの世界観を借りた、不条理な世界をどう生きるかのメッセージ 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
以下の文中の言葉を鑑みると、米国主導の人のエゴが中心となった新自由主義(理想を失った民主主義)の世界で人がどう生きて行くべきか、ガンダムの世界観を通じて若い世代にメッセージを伝えようという福井さんの意思を強く感じました。
戦争での理不尽な死を自ら招いてしまうバナージ。(恐らくは)更なる悲劇へと導かれる栗毛の強化人間マリーダ・クルス。願わくば、本シリーズを読み終えた時、彼らがそして若い世代の読者が良心に沿って正しく生きる意味を知悉し、強く正しく生きる勇気を持てる小説であって欲しいと切に願います。
〜以下、文中より抜粋〜
「必要ならば自分達の手で政治家を操ればよいと考えて恥じない。これが絶対民主主義における政治の実相」
「発達した文明が人の寿命を延ばし、増えた人口を養う経済原理が資源を食いつぶして行った時、加速度的に滅びの道をたどり始めた旧世紀の地球。文明をダウンサイジングするか、外に活路を見出すかという二者択一において、人類は後者を選び取った」
「(心は)自分で自分を決められるたった一つの部品だ」
「優先順位に従って義務をこなすことしか知らなかった体が、縁もゆかりもない若い命に後事を預け、未来などという茫洋とした言葉に一抹の意義を見出している。そんな愚かしい錯覚を真に受けた心が、いまはひどくいとおしい。」
「去って行った妻を呼び止める言葉も持てなかった自分だが、子を儲けていれば別の展開もあったかもしれない。もう一つの可能性、あるべき未来、内なる神の目で未来を見据える、ということ。」
激しさを増していく戦況 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
戦いの鍵となる少年と少女、そしてガンダムを奪い合うために失われつづける多くの命。大切な人を失った悲しみ、そして奪った者への憎しみが互いに交錯し激しさを増していく戦況。未だ明かされない箱の真相をもとめて物語は少しづつ佳境に向かう。もう1台のRXー0や新たな敵の出現にも期待して6巻を待ちたい。
大人の事情 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
ガンダムは一環してスペースノイドvsアースノイドの物語であるが、
これが革新派vs保守派であり、ジオンvs連邦であり、エゥーゴvsティターンズであり、
オールドタイプvsニュータイプの構図であった。その中に子供vs大人の構図も
常に存在し、ニュータイプは常に子供である。
この表現は間違っているわけではもちろんないし、子供向けロボットアニメであれば、
子供達の共感を得るため、やむをえない。
そんなガンダムシリーズにあって本作は大人のためのガンダムである。
主人公、バナージ・リンクスこそ子供だが、その周りを固める大人たちが魅力的だ。
今までのガンダムのように、ただ古い考えを持った保守派の大人として描かれているのではなく、
それぞれに事情があり、立場があり、秩序を守ろうとする大人。
このスタンスでガンダムを描くことが、これほど面白く感じるとは思わなかった。
ガンダムは成長する。
我々ガンダムを見て育った世代とともに。
蛇足ではあるが、いっそのこと主人公も30歳過ぎて急に覚醒した悩めるニュータイプにしてもおもしろかったかも知れない。
胸が躍らない読者は少ないだろう 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
著者と同い年、所謂ガンダム世代の私にとって
トミノ監督の手によらないにもかかわらず
ひさびさに「正統な」作品を読んでいる気がした。
(挿絵の効果も大きいとは思われるが、
その点からすると四巻から部数が伸びないような気も・・・)
ファーストから30年近い年月が経過し
直木賞候補作家が作品を手掛けるまでの成長を
当時、誰が予想し得ただろうか?
本巻は第五巻。ニュータイプというある種
「選ばれた人間の特権的な悩み」ではなく
組織の中で歯車として疲弊しながら
それでも道理を貫こうとする大人の描き方に
骨太で、大人が読むに耐えるSFを感じさせる。
本歌取りではあるが、
それでも圧倒的な筆力で展開される物語に
胸が躍らない読者は少ないだろう。
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