カスタマーレビュー
声 GOTH 僕の章 (角川文庫)
良かったのは「土」だけです。
「声」は夜の章、僕の章での伏線があまりにいやらし過ぎたため序盤で簡単にオチが読めました。
読者にこう思わせようこう思わせようというミスリードがわざとらしく、結局こういう展開で最後はこうなるんだろ?と思って読んでいたらそのまんまでした。
暗黒童話が良かっただけに期待して読んだのですが、非常にライト物足りなかったです。
人間でなかったのは誰だろう GOTH 僕の章 (角川文庫)
「夜の章」の後書きによると主人公の設定は「怪物」ということだった。人間とは異なるがゆえに、徹底的に関わりあえぬ他者。
しかし、本を読み進めるうちに、主人公の男の子も、森野夜という女の子も、黒い色彩の中に徐々に人間的な色合いが移ってきたように見えた。
「記憶」に続いて「声」は、森野夜の変化が読み取れて、割合に好ましく読むことができた。
特に、「声」では、森野夜が「こちら側」に戻ってきた感じがする。夜明けが近いように感じて、意外に読後感がよかったのだ。
つられて、主人公の男の子もうっかり「こちら側」に来つつある様子が感じられた。決定的に「あちら側」に手を染めながら、それでも、少年は始めて名乗りを上げてしまった。
名前は、「こちら側」に来るための魔法。名乗りは作法である。
スリリングな展開。 GOTH 僕の章 (角川文庫)
「僕」と「夜」の2人の主人公は変わらず、1話1話が少しだけ繋がっている部分もあるが、
全体を通して読むと、作品の雰囲気が違うと感じる。
特に時代の空気感に差を感じ、時代設定が明治と言っても信じてしまうようなものもあれば、
昭和のようなラジカセが登場し、携帯電話やインターネットといった現代の機器まで様々。
統一感がない、という批判的な見方ではなく、時代、場所を超越した”どこか別の場所”の
怪奇的出来事として捕らえることが出来、混沌さが面白い。
混沌さの中に、追い詰める人間と追い詰められる人間の駆け引き、焦り崩壊していく人間と
冷静冷酷な人間の対比が鮮明で、魅力となっている。
妄執と狂気の果てに残された、かすかな暖かさ GOTH 僕の章 (角川文庫)
◆「声」
▼あらすじ
北沢夏海の姉・博子が惨殺死体となって発見された。
明るく、外向的だった博子の死により、灯が消えたように
沈鬱なムードが覆うようになった北沢家。
そんな頃、夏海は痴漢から救ってくれた少年に、
博子の肉声が録音されたカセットテープを渡されて…。
▼感想
未コミカライズ作品。
しかし、本作の設定や趣向は、別作品である「記憶」とミックスされ、
再構築がなされることで、漫画オリジナルの作品となりました。
(作品名は、「記憶」)
本作で“僕”の重大な謎が判明することにより、続篇の可能性は、
ほぼなくなったと思われますが、最後に森野が見せた無防備な
素の表情に救われ、思いのほか暖かい余韻に浸れます。
ライトノベル重傷者に送る架け橋 GOTH 僕の章 (角川文庫)
乙一代表作、とも言われる作品。
わたしはほとんど乙一氏を知らないのだが、この知名度の高い作品は
しばしば本屋で見かけたりなんなりして名前は知っていた。
しかし何故かあまり読む気分にはなれなかった。
それはおそらく、本書がライトノベルという形式を
(まあ少なくとも作者がそう述べているので)とっている、というのがあるだろう。
曲りなりにも読書が趣味、と言える人間ならば
ライトノベルというジャンルに対しあまりいい印象を持たないのが普通だと思う。
本書のあとがきにも少し氏はそのことについても触れている。
本格ミステリとライトノベルを愛好する乙一氏は、
ライトノベルという形式でミステリを執筆することで
ライトノベルという形式しか読んだことがないような読者に対して
「ミステリはこんなにまでおもしろいんだぞ!」というようなことを紹介する
姿勢がうかがえる。
その目論見は成功したといえるだろう。
内容は、「僕」を取り巻くなかで
殺人やら猟奇的な事件やらが連続短編という形態で続いており、
それらをいちおう解決してまわっていくというのが
主たるスタイルなのだが、「正常者」VS「異常者」という
いわゆる勧善懲悪モノなのではなくて僕の視点がいつの間にか
異常者のそれと同視線になっていたりして、あれれ?
という一種のトリックが楽しめる。
他角度から作品を眺めることができる、非常に面白いものだ。
しかし、本書のねらいが
「ライトノベル重傷者に送る架け橋」的要素を持っているため、
本格ミステリがすきな人には少し物足りないかもしれない。
しかし「異常心理」がベースになっているのだといえば、
かなりクオリティは高めだといえる。
乙一氏は「ジョジョ」の大ファンだそうだが、
本書のいたるところでそれを感じることがある。
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