カスタマーレビュー
魅力的なキャラクター 新妻千明 覆面作家は二人いる (角川文庫)
北村薫をずっと読み続けてきました。この覆面作家シリーズはある種の軽さと明るさが魅力となっています。
北村薫が何回も直木賞候補作家になっていることを持ち出すまでもなく、「スキップ」「ターン」「リセット」という「時と人」シリーズの持つ重さとは違う温もりが、本作では全編を覆っているので、安心して作品の中に入っていけると思います。
「覆面作家」という設定と2つの際立って対照的な性格の持ち主であるお姫様の言動と挙動の不思議なギャップが、最大の魅力でしょうか。まるで猫の目のように、万華鏡で映し出される光の世界のように、キラキラと輝きながら変身する千秋の変化ぶりがたまりません。リョースケと新妻千明との会話の巧みさと醸し出されるホノボノ感は貴重です。少し脱力しながら読者はついて行きますので。
受けとめる岡部良介の大らかさがまた良い味をだしています。漫才のボケとつっこみのようであり、優介という双子の設定が千秋の二重性格との噛み合わせのようで上手く書かれています。
ミステリーとしては、プロットのひねり具合や展開の早さに読者は戸惑うこともあるでしょう。それも含めて、この作品の魅力となっています。
先の読めない展開と日常の何気ないシーンを切り取ったかのような設定は魅力ですし、従来の他の作家とは一味も二味も違う流れが存在しています。
男性でありながら、女流作家のような雰囲気を醸し出す北村薫という作家の特徴がよく表れている作品の一つだと思います。
千秋と良介の名コンビ♪ 覆面作家は二人いる (角川文庫)
かなりの美貌の持ち主で、その上大金持ちの令嬢。新妻千秋の人物像は
かなり個性的だ。しかも、内と外では性格ががらりと変わるという
ユニークさ♪だが、少々気の弱そうな良介とのコンビは絶妙だ。二人は、
事件の謎を次々と解き明かしていく。事件の中にはシリアスなものもあるが、
どこか救いがあり読んでいてほっとする。心に重くのしかかってこないのが
心地よい。良介の双子の兄弟優介(警視庁の刑事!)の存在も見逃せない。
この作品にいい味を加えている。良介と千秋、この二人の関係はこれから
どうなるのか?こちらも見逃せないところだ。第2弾を読むのが楽しみだ。
皆さん、もっとこのシリーズにご注目を!!! 覆面作家は二人いる (角川文庫)
北村作品には名作力作数あれど、このシリーズが一番好き。本作の主人公・新妻千秋も他の作品同様無垢で純粋な女の子には違いないが、ひねりが効いている分、気にならずに楽しく読める(他の作品は、たまーに疲れることがある)。
本格推理とくすくす笑いを誘う品のいいユーモア。キャラクター設定と各々の関係性の妙。鮮やかなストーリーテリング。楽しみ満載のシリーズである。北村節を抑えて抑えて軽いタッチに仕上げているが、ゆっくりじっくり読み込むと、人間の内面の深いところを覗かせられ、それは他の作品に通じる。だから本シリーズもやはり北村作品の本流には違いないのだ。変化球ではあるけれど。
天国的美貌の御令嬢にして推理作家、かつ頭脳明晰な名探偵(探偵は行きがかり上であるが)。さらに、他に類を見ない「外弁慶」。彼女が推理作家としてデビューを果たし、語り手である担当編集者・リョースケと出会い、身近に起きた事件の謎を解いていく三篇が収められている。リョースケの双子の兄・優介は警視庁の刑事なので事件には事欠かない。
リョースケがいい! 初めて兄・優介と千秋と三人で卓を囲むシーンを引こう。
優介と千秋がやりとりする傍らで、
「ちょっと変わった、それだけ得難い宝石を人に見せているような不思議な気分になった」。
大事な人からこんなふうに思われることが、女子の永遠の夢でなければいったい何を夢と言うのだろう! リョースケの千秋へのまなざしを眺めているだけで幸せな気分になれる作品だ。
ヒロインの巻き起こす旋風が舞い上がる! 覆面作家は二人いる (角川文庫)
私は北村薫さんの作品を初めて読みました。 ミステリーはわりと好きな私ですが、 こんな著名人を今まで特に読まないでいたのに理由があったわけではありません。 「ただ、なんとなく」見過ごしてきたんだと思います。 この作品は短編が3作入って一冊になっているので、さらさらと読めました。 さて!作品の感想です。 まず探偵役のヒロイン、新妻千秋のキャラが秀逸です! はっきりいって破天荒の天才。京極堂でいうところのです。 周囲の人物を引っ掻き回すところまでよく似ています。 また、話のテンポが冒頭非常に早い。 千秋が真相に気がつくところまでが異常に早い気がします。 「おいおい!もう犯人か!?」と思わされました。 かといって謎解きがダラダラ続くわけではありません。 ここで千秋の破天荒なキャラがいきてくるんですね。 登場人物の設定作りは宮部みゆきが一番うまいなあと個人的に思っていたのですが。 こういうキャラ作りというのもあるんだなあと思いました。 宮部作品はしっとりとキャラが手になじんでくるような感じがしますが、 この作品のキャラは旋風を巻き起こして読者を吹き飛ばしてしまいそうです。 どちらも読者にとっては快感ですが。 これを機会に北村作品を読んでみます。
素直に楽しんで良いのか 覆面作家は二人いる (角川文庫)
1991年に出た単行本の文庫化。 非常に楽しめる作品。トリックとしては他愛もないのだが、お話の作り方が巧み。魅力的な登場人物、良く出来た設定。謎のからめ方にも熟練した腕を見せてくれる。 ただ、あまりにも良く出来すぎていて、あざとく感じる部分も少なくない。特に主人公である新妻千秋の性格が。男性から見るととても魅力的なのだろうが、どうなのだろう。 こういったところを純粋に楽しめるようにならないと、真の北村薫ファンにはなれないのかも知れない。
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