『仁義なき戦い 死闘篇』は、一地方企業(やくざも企業なんです)が戦後の混乱をどう切り抜けたか、その内部抗争の記録小説でした。『決戦篇』は、高度成長を迎えた日本で、地方企業が全国に雄飛しようとしてぶつかった厚い壁を描いた、と言えましょう。
NHKの人気番組・プロジェクトXはみんな知ってますよね。でも、あの番組が好んで取り上げる時代って、一方では本書のよーなことが日本全国で起きてたわけで。「プロX」が私たち日本人の希望のシンボル(?)だとしたら、「仁義なき」は私たちの父・祖父の世代がのたうち回って生き抜いた時代の証拠、正視すべき十字架じゃないでしょうか。
とかなんとか、小難しいこと考えなくても本書はおもしろいです。迫真の、という表現がぴったりなのは映!画をご存知の方ならわかりますよね。でも、エンタテインメントの枠に留まらない、時代を超えた名著です。本書の末尾に引用された美能幸三の言葉にそれは集約されるでしょう。日本企業の影をえぐり出す言葉を、ぜひ味わってみてください。